研究概要 |
当初の研究計画(1)赤パンカビβ-1,6-グルカナーゼ遺伝子のクローニングと発現、(2)遺伝子科破壊株の作成とβ-1,6-グルカナーゼの機能解析をすべてクリアーした。本研究において得られた、β-1,6-グルカナーゼ遺伝子のクローニングは世界で2番目の成果であり、遺伝子破壊株の取得と表現型の観察は世界最初の結果である。 研究成果の要約を要約すると1)赤パンカビ(Neurosopora crassa)のβ-1,6-グルカナーゼ遺伝子(neg1)をクローニングし、その塩基配列および一次構造を明らかにした。neg1は全長1433bpで内部にイーントロンを含まず、N.crassaの第4連鎖群上に存在する。 2)β-1,6-グルカナーゼ蛋白(Neg1)は480アミノ酸残基からなり、現在まで報告されているβ-1,6-グルカナーゼとの相同性がなく、新規な蛋白質である。 3)neg1破壊株の取得に成功した。同破壊株の特徴は、界面活性剤であるCTAB, SDSに対する感受性が野性株と比較して異常に高く、細胞壁β-グルカンに親和性Lをもつ試薬Congo-Red似たいしても感受性が増大した。 以上の結果から、β-1,6-グルカンは細胞壁の強度には関与せず、細胞壁の再構築や、細胞壁蛋白の再構成に関与していることが示唆された。
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