研究概要 |
バイオマスの有効利用は,21世紀社会の資源・エネルギー不足を解消し,環境負荷の低減,環境保全を行うために避けて通れない道である.バイオマス利用一割の現状の大きな理由は、その不均一性・複雑性に起因する難分解性にある。未利用バイオマス資源を低分子化し様々な産業分野で原料・素材として有効利用するために新規な特徴ある分解酵素系を開発する必要がある.本研究は,そのブレークスルーとして極めてユニークなウイルスに見出した,キチナーゼ,キトサナーゼ,vAL-1,vAL-2,β-グルカナーゼ等の特徴付けを行い,実用の可能性を検討した.特にvAL-1は,難分解性で知られるクロレラの細胞壁を分解しウロン酸を生成する,従来知られていない新規有用酵素である.単離クロレラ細胞壁を精製vAL-1で処理すると、グルクロン酸、Man, Gal, Ara, Fuc, GlcNAc, Rhaから成るオリゴ糖生成物が生じる。0.1%酢酸処理した細胞壁からは、主としてGlcから成るオリゴ糖が生成する。このことからvAL-1は極めて特殊な活性を持った新規多糖分解酵素であることが示唆された。さらに大腸菌にクローン化し大量生産したキチナーゼ,キトサナーゼについてもその構造と活性を詳しく調べた。何れも特徴的な複合構造をしており、活性の異なるドメインの共同作業による広域分解活性が判明した.これら酵素が実際のバイオマス分解に有効であることが分かった.
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