研究概要 |
平成13年度および14年度で得られた成果を下記に列記する。 1.キメラ型酵素を作成するにあたり、まずスクアレンーホペン環化酵素の部位特異的変異実験により、非天然型トリテルペンが創製されるかどうか検討した。 (1)Tyr495,Tyr612及びTyr609をAlaへ置換し、速度論解析を行った。これらチロシン残基の役割として、D377やF365の機能(カチオン中間体の安定化)の補助作用を担うことを明らかにした(Biosci. Biotechnol. Biochem. 65,2233-2242,2001). (2)Tyr420やLeu607を大きなバルクサイズへ置換したところ、従来見い出されてない非天然型トリテルペンを創製する事に成功した(Biosci. Biotechnol. Biochem2001)。この論文は日本農芸化学会の論文賞受賞を受けた。 2.オキシドスクアレン環化酵素として典型的な豚肝臓ミクロソームに存在するラノステロール合成酵素の基質認識機構の基礎的知見を得る為10-エチルオキシドスクアレンを合成し、その環化生成物を同定した。多段階の環化反応が単環性化合物で反応が停止した。その際、環化が従来知られていた椅子型でfoldingされず、舟形で折り畳まれ、また3S-オキシドスクアレンしか反応しないと考えれていた酵素認識が、10-位にわずかにバルキーな置換基が導入されることにより、3R-体も酵素反応する事を明らかにした(Tetrahedron Lett.,42,7319-7324,2001) 3.本研究の主目的のキメラ型酵素の作成を考案するうえで、両者のアミノ酸のアライメントを比較したところ、SHCの600番目のGlyがLaOSCには欠損していることが判明した。SHCのGLY600欠損型の変異酵素(キメラ型)を作成した。この変異酵素はLaOSCと類似の基質選択性を与えた。即ち、SQや(3R)-OXSQは反応せず,ラノステロール合成酵素に特異的な(3S)-OXSQ)のみが反応した。本研究成果を日本農芸化学化学会(2003,4)で発表予定である。 4.SQ基質のフォールデングは基質と結合するアミノ酸の立体的な嵩高さに起因することの実験的な証明を得た。例えば、Tyr420TrpはB環が舟型へ変化した生成物を与えた(Biosci. Biotechnol. Biochem.2002)。 以上、本研究をとうして基質特異性や環化フォールデングについて重要な知見を得ることができた。
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