研究概要 |
Penicillium brasilianum Batista JV-379株のオカラ培養物から2種のカイコ痙攣性物質を単離し、それらの構造を各種機器分析により決定した。いずれも新規化合物であったことから、brasiliamide A,Bと命名し、それぞれ(Z)-N^1,N^2-diacetyl-N^2-(2-oxo-3-phenylpropyl)-3-(3-methoxy-4,5-methylenedioxy-phenyl)-1,2-propenediamineおよび1,4-diacetyl-2-benzyl-5-(3-methoxy-4,5-methylenedioxybenzyl)-1,2,3,4-tetrahydropyrazineと決定した。Brasiliamide BはNMRスペクトルにおいて2種のコンホマーの混合物として観測され、溶媒あるいは温度を変えるとスペクトルおよび各シグナルの比率が変化する現象が認められた。モデル化合物trans-1,4-diacetyl-2,5-dimethylpiperazineを合成し、スペクトルを詳細に解析したところ、アミド結合のsyn/anti異性化によって4種の回転異性体が観測されることを明らかにした。この解析結果および低温あるいは室温でのNOE実験によりbrasiliamide Bのコンホメーション解析を行い、溶液中ではアセトアミド基の配置の異なる4種の回転異性体が存在すること、また、室温ではbrasiliamide Bの一方のアミド結合の回転が速いために均一化されてシグナルがブロードニング化して現れ、もう一方のアミド結合の回転異性体に由来する2種の異性体のみが観察されることなどを明らかにした。また、brasiliamide類の関連化合物を精査し、3種の類縁体brasiliamide C-Eを単離し、それらの平面構造を決定した。Brasiliamide類の痙攣活性はbrasiliamide Bが最も強く、その活性は50μg/g dietであった。
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