研究概要 |
分離大豆タンパク質をプロチン処理し遠心分離によって得られる不溶性高分子画分(HMF)は高い酸性ステロイド捕捉活性を有し、HMF食ラットでは糞中へのステロイドおよび脂質の排泄が促される。そのため糞をリン酸緩衝液,70%エタノール,1%トリトン含有8M尿素溶液で洗浄した残渣のアミノ酸組成と酸性ステロイド(胆汁酸)捕捉能を調べたところ、アミノ酸含量(モル比)はLeu>Ala>Val, Ile>Gly>Phe>Pro>Tyr>Ser>Glu etcの順にHMFを動物消化酵素で処理した後の残渣(remunant)のそれと概ね一致し、また胆汁酸捕捉能も全糞粉末を水洗後70%エタノールで抽出したとき得られる胆汁酸量に匹敵することがわかった。従って糞の不溶性残渣とHMF消化後の残渣は同じもので、"大豆レジスタントプロテイン"と称して差し支えない。大豆レジスタントプロテインは腸内において胆汁酸捕捉運搬体として機能し、その胆汁酸捕捉能はLCA, DCA, CDCA>>HDCA>TDCA, GCDCA>UDCA, CAとなり、とくにDCAとCAの相違は^<14>CDCAを用いたEadie-Scatchardプロットでの強いDCA阻害によって確かめられた。小腸での吸収を免れた一次胆汁酸は腸内細菌によって脱水酸化をうけ、生体内で最も危険な存在である二次胆汁酸に変化する。今のところ大豆以上の胆汁酸捕捉性レジスタントプロテインを見出していないが、レジスタントプロテインの胆汁酸捕捉能は生理的には二次胆汁酸に向けられるので、その継続的摂取は血清脂質の改善だけでなく癌予防に役立つことが期待される。
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