研究概要 |
中国産の蔓性落葉潅木のペリプロカ(Periploca speium Bunge)の子葉と下胚軸からの再分化系を確立した。MS培地を基本培地とし,NAAとBAPの組み合わせで再分化が確認された.再分化率は子葉よりも胚軸で高く、下胚軸の方が外植体として適していると考えられた.再分化したシュートは1/2MS培地にIAAを6μmol/l添加した培地で発根し,幼植物体が再生された. さらに、茎葉からのシュートの再分化と植物体の再生について検討した.MS培地を基本培地とし,NAAとBAPの組み合わせでシュートの再分化が確認された.茎からの再分化には,BAP 1μM〜3μMとNAA 0.1μMの組み合わせで分化率が高かった.一方,葉からの再分化には,BAP 3μM〜1 0μMとNAA 0.1〜1μMを組み合わせで分化率が高かった.最適な再分化培地での茎と葉における分化率はそれぞれ100%と90%であった. 次に、ペリプロカの形質転換個体の作出を試みた.アグロバクテリウム法によりGFP遺伝子の導入を行い,蛍光を発するカルスから蛍光を発するシュートを再分化させた.このシュートを用いて,PCR分析,Western分析を行なった結果,遺伝子の導入とタンパクの合成が確認された. さらに、ペリプロカへのFerritin遺伝子の導入を試みた.培養シュートの節間を長さ1cmに切り取り,アグロバクテリウム法により遺伝子を導入した.遺伝子導入に用いた試料はカナマイシンを添加した培地で生育させ,生残したシュートを選抜個体として再生させた.選抜個体はPCR法により遺伝子を確認したところ,目的としたFerritin遺伝子が導入されていることが確認された.
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