研究概要 |
1.アンモニア菌をモデルとした野外集団の分散と定着の研究 (1)野外集団の調査 ○モデル菌:Hebeloma spoliatumアシナガヌメリ,Copinopsis plyctidosporaザラミノヒトヨタケ ○調査場所:東京大学千葉演習林のアカガシ・スダジイが混じるモミ林に,方形区(10x1m)を3箇所設けた. ○発生子実体調査・解析:平成14年に15回,平成15年に10回,合計25回の野外調査をおこない,3つの方形区から,発生位置を平面図にプロットし,子実体を採集・分離し,解析をおこなった. (2)モデル菌のマイクロサテライトDNAの探索 ○目標:モデル菌アシナガヌメリのコロニー識別ならびに集団構成を明らかにするためのマーカー作出 ○内容: a)モデル菌のITS領域の塩基配列を比較したが,本領域では供試菌間にあまり変異が認められなかった. b)モデル菌のマイクロサテライトDNAの探索をおこない,今回新規にSSRマーカーを4つ作成し,野外集団構成を明解析する準備をおこなった. 2.分類学的研究(アンモニア菌) ●アンモニア菌Copinopsis phlyctidospora complex群(担子菌門,ハラタケ目,ナヨタケ科)の調査. 汎世界的に分布すると考えられていた本種が,実は多くの近縁の種からなるcomplexであることが判明したため,その種分化現象を調査するため,今回,日本・ニュージーランド・豪州で調査をおこない,次の3隠蔽種を発見した. ○ニュージーランドとオーストラリアから得られた未知種をCopinopsis austrophlyctidospora(胞子表面はイボ状)として新種記載し投稿中. ○ニュージーランドから得られたCopinopsis sp.(胞子表面は平滑)を新種として準備中. ○奄美から得られたCopinopsis sp.(胞子表面がトゲ状)を新種として準備中.
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