研究課題/領域番号 |
13660203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 研治 長崎大学, 水産学部, 教授 (10039737)
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研究分担者 |
長富 潔 長崎大学, 水産学部, 助教授 (40253702)
橘 勝康 長崎大学, 水産学部, 教授 (20171712)
石原 忠 長崎大学, 水産学部, 教授 (40039722)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 筋原線維結合型セリンプロテアーゼ / 遺伝子クローニング / 一次構造 / コイ / エソ / トリプシン型酵素 / 戻り / セリン型酵素インヒビター / mRNA発現 / 筋原繊維結合型セリンプロテアーゼ / N末端アミノ酸配列 / 火戻り / 精製 / プローブ |
研究概要 |
魚肉中の筋原線維に結合しているセリンプロテアーゼ(MBSP)は、魚肉の利用加工はもとより、筋肉タンパク質の代謝にも密接に関連する興味深い酵素であるにもかかわらず、精製が非常に困難であることから研究は遅れている。 本研究ではコイとエソから、筋原線維結合型セリンプロテアーゼ(MBSP)を精製しその性質を述べた。コイMBSPとエソのそれとは、筋原線維からの溶出方法が異なっていたことから、両者の筋原線維タンパクとの結合様式は異なる可能性が示唆された。また両酵素は同じトリプシンタイプのプロテアーゼではあったが、その構造や性質に相違が見られた。しかしながら両者は共にミオシン重鎖を良く水解することは一致しており、両酵素とも、戻りに関わる最も重要な酵素であることには違いない。精製したコイMBSPのN末端アミノ酸配列からプライマーを設計し、コイMBSP遺伝子クローニングを行い、全一次構造を明らかにした。その結果、本酵素の遺伝子は242個のアミノ酸をコードする726bpのcDNAからなることが明らかとなった。また、21残基目からのアミノ酸配列が精製酵素より決定したN末端アミノ酸配列(40残基)と全て一致したことより、222アミノ酸の活性型MBSPの上流に疎水性領域を有する20残基のプロ型ペプチドが存在することが明らかとなった。このことよりプロ型から活性型への変換はGlu(20)-lle(21)のペプチドが水解されて起こることが明らかとなったが、この変換酵素についてはこれからの課題である。他のトリプシン型プロテアーゼと比較すると活性型MBSPは全体としてのホモロジーは低かったが活性中心の存在するC末端領域は良く保存されていた。また、活性型コイMBSPは分子内にLysを27残基も含んでいることが明らかとなった。この事実からMBSPと筋原線維とはイオン結合している可能性が示唆された。このことは、本酵素が筋原線維から0.5MKCl, pH 4.0の条件で解離することからも支持される。遺伝子情報を基に、コイの各組織での本酵素mRNAの発現量を調べたところ、mRNAの発現は全組織で発現しており、筋肉、心臓、目、脳では比較的少なく、卵巣、肝膵臓、鰓などが多いことが明らかとなり、MBSPは組織に広く分布しているものと考えられた。今後、遺伝子クローニングによりエソMBSPの全一次構造の解明を行い、さらに分子生物学的手法により、魚類の生体内における本酵素の発現及び筋細胞における局在をタンパク質と遺伝子レベルで追求する予定である。
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