研究分担者 |
耕野 拓一 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (20281876)
澤田 学 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60142791)
金山 紀久 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00214445)
草苅 仁 神戸大学, 農学部, 助教授 (40312863)
茅野 甚治朗 (茅野 甚治郎) 宇都宮大学, 農学部, 教授 (40163729)
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研究概要 |
本研究は,需給のミスマッチが指摘されている大豆と小麦に関する安定的生産・流通システムの構築を目的としている.また米の需給動向を検討すると,今後田本地面積から60-70万haの面積が米以外に転用させる必要がある.そうなると,田作大豆や田作麦が本作化されなければならないであろう. 現在,経営確立助成対策が行われて本作化を促進している.基本的には,圃場基盤整備,コンバインなどの機械化,作付地の団地化であり,作付体系は麦-大豆を組み込んだ1年2作,あるいは2年3作(米を含む)である.こうした地域では単収水準が高く,経営確立助成は生産性の向上に貢献しているが,品質面での改善は遅れている.先進事例では,ニーズに対応した調整・保管システムを構築しており,マーケティング次第では品質面でのリスク・シェアリングが可能である. 大豆の入札制度が改善され落札価格が公表されるようになった.その後,入札取引の減少,最近の落札価格の高騰をもたらしている.公表は価格探索情報を節約できるが,半面,入札取引以外の取引がしやすくなることを意味する.これを調整するためには,入札数量を引き出す方策が必要である.また,入札制度を補完するものとして契約栽培があるが,これは入札制度の適切な運用とあいまって,大豆流通のリスク・シェアリングを可能にするであろう.この点は海外と契約栽培を行うNon-GMO大豆とその先物市場との関係にも妥当する.契約栽培の均衡価格は売り手,買い手双方にとってリスク・シェアリングの機能を持つことは理論的にも証明された. パン用小麦品種の開発は、国産小麦の需給のミスマッチを解消するひとつの方策である.入札制度においてパン用小麦品種の価格が上昇している状況下では、こうしたニーズヘの対応である.春まき小麦の栽培は収量性の観点から問題を抱えているが,ハルユタカの初冬まき栽培の取り組みは注目すべき事例である.農業生産者と加工業者の良好な相互作用によるより望ましい需給関係の生成は,原料供給の柔軟性が低いことによるフードシステムの脆弱性が問題となり易いわが国のフードシステムでは,重要な発展のファクターとなっているからである.
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