研究概要 |
建設汚泥は建設廃棄物の中でも有効利用の割合の低い廃棄物のひとつであり,種々の利用法が提案されているが,高価であることや利用量が限られていることなどにより,盛土材料などの低位の利用にとどまっているのが現状である。 これらの軟弱な地盤材料を石灰で安定処理して,道路の凍上抑制層などのより付加価値の高い材料として利用するための検討を行った。 一般的に用いられている石灰安定処理工法は,石灰添加後,で直ちに締固めて養生する方法(締固め養生)であるが,ここでは,石灰を混合した後,そのまま放置し(放置養生),所定の日数経過後に締固める方法を用いた。この方法により,安定処理土をストックすることができるため,定置型プラントで処理は可能となり,建設汚泥の有効利用が拡大することが期待される。 そこで,養生方法を変えた安定処理土について,一軸圧縮試験および凍上試験を行い以下の結果を得た。 1)一軸圧縮強さは養生日数に比例して増加し,石灰添加率7%,放置日数7日の場合の増加する割合が最も顕著である。 2)放置日数と一軸圧縮強さの関係では,養生日数の少ない場合は,一軸圧縮強さの違いは見られないが,養生日数が長くとなると,放置日数7日をピークとして一軸圧縮強さが減少し,90日養生では強度の低下が著しい。 3)変形係数は養生日数に比例して増加する。一軸圧縮強さとの関係では試料の初期含水比が大きいほど変形係数は大きくなるが,放置日数との関係はみられない。 4)凍上量は,石灰添加率の増加や養生日数の延長に伴い減少し,特に混合養生が一般的な締固め養生よりも顕著に凍上抑制効果が現れた。これは,毛管力の減少によるものである。
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