研究概要 |
1)微破砕木質の亜臨界水処理亜臨界水処理された試料を,走査型電子顕微鏡により視察した結果,処理条件の違いによるリグニン分離の状況が確認され,クラソン法により分離リグニン量を定量した結果,処理時間と処理温度による傾向が認められた。グルコース生成を,グルコースキットと分光光度計及び高速液体クロマトグラフにより定量した結果,同等の処理条件下において生成していることが判明した。そのことは,後段における酵素反応阻害物質であるHFMの2次分解を考慮する必要を示している。 2)木質微破砕機の試験結果フレール刃と回転ふるいによる微破砕機において,フレールにねじりを与え材料の連続投入を可能にした。破砕物の加重平均粒径は長孔パンチング網ではロータ回転数に顕著に依存しないが,円孔網では低回転数で小さくなる傾向が見られた。開孔率が低い円孔網では,低回転数では発生する風量が少ないため,ふるいから排出されるまでの滞留時間が長くなり刃に当たる回数が増加するためであると考えられる。 3)微破砕形状の定量化被破砕物の輪郭をフラクタル次元により定量化し,加重平均による粒倒直と比較した。微破砕機運転条件の違いの,これら2種類のインデクスへの反映が異なることが判明した。すなわち,長孔パンチング網に対して,あるロータ回転数において加重平均粒径は最少となる傾向があるが,フラクタル次元は回転数の増加とともに大きなる。円孔パンチング網に対して,加重平均粒径は回転数が低いほど小さくなったが,フラクタル次元は卓越した差が見られず,各分級について求めたフラクタル次元についても卓越した差が見られなかった。このことは,亜臨界水処理における水との接触面積は処理効果と関係するものと見られ,処理のための微破砕の評価にはフラクタル次元の方が加重平均粒径よりも有効である。
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