研究概要 |
成果は以下の5点に要約される. (1)カゼインホスホペプチド(CPP)添加飼料でアレルギー自然発症マウスを飼育すると,アレルギーの発症はCPP無添加飼料で飼育した時よりも明らかに軽減し,腸管IgA量はCPP無添加飼料で飼育した時よりも有意に高く,血清中のIgE量は有意に低いことを明らかにした. (2)CPPはGlu-SerP-X-SerP-SerP-SerP-Glu-GluというSerP集中域を含むが,IgA産生促進作用を担うのはSerP-X-SerPというトリペプチド配列であることを明らかにした. (3)SerP-SerP-SerPというSerPが3残基並んだ配列はSerP集中域を認識した抗体と反応するが,2番目がSerP以外のアミノ酸に置換されれば,その抗体との反応性は殆どないことを明らかにした. (4)食品添加物として認可されている14種のプロテアーゼで牛乳カゼインを消化し,それらの消化物から調製したCPPのIgA産生促進活性やSerP集中域を認識した抗体との反応性を調べ,コウジカビ由来のプロテアーゼを用いることにより,本申請研究で目的としているペプチド素材を調製できることを明らかにした. (5)CPPがIgA産生促進活性を示すのはリンパ球表面のレセプターにそのペプチドが結合することから始まる.また,SerP-X-SerPがIgA産生を促進する.これらのことからレセプターとの結合部分はアミノ酸3残基程度と推察される.そこで,デキストリンをリン酸存在下で加熱してリン酸化デキストリンを調製し,細胞培養系でそのリン酸化デキストリンはリンパ球の増殖促進活性やIgA産生促進活性を有することを明らかにした.さらに,リン酸化デキストリン添加飼料で飼育したマウスのサルモネラ菌体成分に対する腸管IgAレベルは,リン酸化デキストリン無添加飼料で飼育したマウスのものよりも,統計的に有意に高いことを明らかにした
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