研究概要 |
ラットの小腸における粘膜上皮細胞のアポトーシス発現と免疫グロブリンの再吸収との関連性,及び食餌性抗原や特異抗体の吸収と絨毛円柱上皮細胞のアポトーシス発現との関係について調べた。また粘膜上皮から吸収された免疫グロブリンの輸送経路について調べた。 その結果,小腸腸絨毛ではアポトーシスを発現した絨毛円柱上皮細胞からIgG, IgA及びIgMの吸収が行われ,これらは腸管内容物の刺激により誘発されることが明らかとなった。またアポトーシス発現絨毛円の基底膜側の細胞質が断片化することによる免疫グロブリンの生体組織側へ分泌も明らかとなった。さらに食餌性抗原による既経口感作の個体では,特異抗体を介してアポトーシス発現上皮細胞より食餌性抗原が吸収されることが明らかとなった。またパイェル板での抗原抗体複合体の吸収はM細胞よりもアポトーシスを発現した濾胞被蓋上皮細胞を介するものが多いことも示唆された。また,吸収された抗原および抗体は主にリンパ管へとパーソープションされるが,一部は血行性にパーソープションされ,肝細胞に取り込まれるものの,胆汁には分泌されないことが明らかとなった。 また上記の成果の他に,ニワトリ盲腸扁桃濾胞被蓋上皮内のM細胞が腸陰窩での未分化上皮細包に直接由来すること,及び最終的にM細胞としては寿命を終えずに微絨毛上皮細胞へ再分化した後,アポトーシスを発現して処理されることを明らかにしている。加えて,アポトーシスが赤芽球の成熟や脱核に関与すること,及び赤芽球小島は赤芽球が成熟するにつれて洞様血管へ遊走し,最終的に成熟した赤血球系細胞を末梢血中へ輸送することをラット骨髄で明らかにした。
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