研究課題/領域番号 |
13670090
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山下 康子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (80291532)
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研究分担者 |
山下 樹三裕 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (50192399)
丹羽 正美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20136641)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 虚血性脳神経細胞死 / ミクログリア / アストロサイト / MCP-1 / 虚血性神経細胞死 / SHRSP |
研究概要 |
本研究計画においてわれわれが最初に注目したのは、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)に一過性前脳虚血負荷により遅発性の神経細胞死が発症する海馬CA1領域の錐体細胞層にendothelin ETB(ETB)受容体を発現したミクログリアが浸潤することである。そこで、ETB受容体自然欠損ラット(ARラット)を用いようとしたが、この系のラットは3-4週齢で巨大結腸を発症して死亡するので、幼若ラットへの虚血性の神経細胞障害モデルである片側総頚動脈結紮後に低酸素負荷を施すと、ARラットでも正常同週齢ラット同様の細胞死が観察された。しかし、これは再還流1日目から組織学的な障害が認められ、われわれが用いているSHRSPにおける遅発性の神経細胞死とは機序が異なると考えられた。次にわれわれのモデルにおいて、虚血再還流24時間後には血液脳関門(BBB)の透過性が著明に亢進することがわかっているので、単球の遊走化因子であるMCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)の発現を調べた。SHRSPに10分間の前脳虚血を負荷し再潅流後1日目からMCP-1 mRNAの発現が海馬歯状回でみられ、2日目には遅発性神経細胞死がみられるCA1領域全体に分布していた。発現している細胞はアストロサイトであった。ELISAによるタンパクの定量実験でも2日目にもっとも多い発現が確認された。次に、このMCP-1の発現が他の細胞の関与を必要とするのかどうかを調べるために、培養アストロサイトを用いて一過性にin vitroで虚血(無グルコースおよび低酸素)負荷の処置を施し、MCP-1の発現を調べた結果、SHRSPのアストロサイトでは著明なMCP-1 mRNAの発現が認められたが、正常血圧であるWKYラットではこの条件ではわずかな発現しかみられなかった。以上の結果より、SHRSPにおける一過性前脳虚血負荷による遅発性神経細胞死の発症過程にはアストロサイトによる著明なMCP-1の発現、それによる血中からの単球の侵入およびミクログリアの活性化が関与することが示唆され、MCP-1の機能を抑える物質の探索へと今後展開していきたい。
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