研究課題/領域番号 |
13670134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 聡 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10300815)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 血小板活性化因子 / PAF / 受容体 / 多発性硬化症 / 痛覚 / 神経伝達物質放出 / 欠損マウス / 実験的アレルギー性脳脊髄膜炎 / Paired-pulse facilitation / posttetanic potentiation / 海馬 / CA1 / spontaneous miniature post-synaptic potential |
研究概要 |
1.多発性硬化症におけるPAF受容体の役割 ヒトの疾患である多発性硬化症の動物モデル(実験的アレルギー性脳脊髄膜炎(EAE))をPAF受容体欠損マウスに発症させた。EAE発症に要した平均日数や発症率は野生型マウスと比べてPAF受容体欠損マウスでは違いが認められなかった。しかし四肢の麻痺の程度をスコア化したところ、PAF受容体欠損マウスは野生型マウスに比して有意に症状が軽いことが明らかになった。以上の結果から、PAFにEAEを増悪化させる作用があることが示唆された。 2.疼痛におけるPAF受容体の役割 PAF受容体欠損マウスの後足の踵に熱及び化学刺激を加える実験により、生理的条件下におけるPAFの痛覚への関与を調べた。PAF受容体欠損マウスは両方の侵害刺激に対し、野生型マウスに比べ有意に鈍麻になっていた。また痛覚伝達経路を担う神経細胞のうち、一次求心性神経細胞の細胞体(後根神経節)においてマウスPAF受容体のmRNAの発現がRT-PCRによって認められた。またラット後根神経節の神経細胞をin vitroで培養してPAFで刺激したところ、細胞内カルシウム濃度の上昇が確認された。以上の結果からPAFの痛覚増強作用が示され、この機序には少なくとも一次求心性神経細胞が関与することが示唆された。 3.神経伝達物質放出におけるPAFの役割 マウスの大脳スライス標本で海馬CA1領域の前シナプスからの神経伝達物質の放出能を、対パルス促通と後テタヌス性増強という2つの電気生理学実験で観察した。その結果、PAF受容体欠損マウスでは二つの現象がともに野生型マウスに比べ抑制されていることがわかった。また後テタヌス性増強の抑制はPAF受容体アンタゴニスト(WEB2086)の投与によっても野生型マウスで観察できた。以上の結果から、PAFには前シナプスからの神経伝達物質放出促進作用があることが示唆された。
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