研究課題
基盤研究(C)
MALTリンパ腫には異なる核型異常が認められ、API2-MALT1、BCL10が病因遺伝子として見つかっている。いずれもapoptosis機構に抑制的に作用して、本腫瘍の発生進展に関与するものと考えられるが、これらの遺伝子異常は、発生臓器により大きく異なることから、発生進展分子機序の異なる亜型の存在が推測されていた。Multiple RT-PCR法によるAPI2-MALT1キメラ遺伝子検出及び免疫組織染色法によるBCL10蛋白発現検索から、MALTリンパ腫症例をAPI2-MALT1(+)と非API2-MALT1(+)の2群に分類し、発生臓器、組織像、多臓器進展、H.Pylori除菌治療効果、臨床病理学的因子との相関を検索し、発生進展の分子機序に基づいた疾患単位としてのMALTリンパ腫亜型について総合的に検討した。API2-MALT1(+)群は、全MALTリンパ腫の13%で、臓器別には肺病変の33%、胃病変の15%、大腸病変の11%に認められた。典型的なCCL cellからなるmonotonous typeの組織像(91%)を呈し、多臓器進展症例が多く(27%)、HP除菌例では治療抵抗性であった。API2-MALT1(+)群は、固有の発生進展分子機序を有し、組織像、病態にも特性が認められることから、独立した有用な疾患単位と考えられた。一方、非API2-MALT1(+)群は、t(1;14)(p22;q32)、t(14;18)(q32;q21)及びtrisomy等の核型異常に由来する異なった発生進展分子機序を有する病変で、組織像、病態にも明らかな特性は認められなかった。今後さらに細分化した詳細な検索が必要と考えられる。悪性リンパ腫では、発生進展の分子基盤に基づいた疾患分類再構築が進められている。新たな治療法と結びつく可能性があり、この様な観点に立つ研究は重要である。
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