研究課題/領域番号 |
13670216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 透 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50280962)
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研究分担者 |
仲野 徹 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00172370)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 始原生殖細胞 / EG細胞 / PTEN / 分化全能性 / 幹細胞 / 癌抑制遺伝子 / germ cell-less / 精子形態形成 / 生殖系列 / Pten遺伝子 / テラトーマ / 胚性生殖細胞 / germ cell-less遺伝子 / クロマチン・リモデリング |
研究概要 |
始原生殖細胞(PGC : primordial germ cells)は発生過程で最初に現れる生殖系列の細胞であるが、全能性幹細胞からPGCへの分化機構はほとんど解明されていない。一方、生殖系列に運命付けられているPGCは、特殊な条件下で培養すると、分化全能性をもつ幹細胞であるEG(胚性生殖)細胞に脱分化する。それが生体内でおこるとテラトーマ(奇形種)という分化全能性をもつ幹細胞とそれが分化した組織からなる癌を発症する。我々は、(1)哺乳類の生殖系列への運命付けの機構を解明するために、ショウジョウバエの生殖系列決定機構に関与する遺伝子のマウス・ホモログの解析と、(2)PGCから全能性幹細胞への脱分化機構を解明するために、様々なシグナル伝達分子のノックアウトマウスの解析を行った。 (1)ショウジョウバエのgerm cell-lessはPGC形成に重要な機能をもつ。そのマウス・ホモログであるmgcl-1欠損マウスを作製したところ、mgcl-1はPGCの発生には必須ではないが、精子形態形成過程という全く異なるプロセスに関与することを明らかにした。mGCL-1という核膜のコンポーネントが、精子形成時の核膜の形態変化やクロマチン・リモデリングに関与することを示唆する重要な知見である。 (2)癌抑制遺伝子PTENのPGC特異的欠損マウスは、新生仔で精巣性テラトーマを発症した。 胎仔期の精巣を調べたところ、PTEN欠損マウスのPGCにおいては、生殖細胞特異的マーカーの発現が消失し、未分化細胞特有のマーカー発現パターンを獲得することが示された。 また、培養系において、PGCからEG細胞への脱分化が亢進していることが明らかとなった。 これらの結果は、PTENによるPI3キナーゼの負の制御が雄性生殖細胞の成立に必須であり、その制御機構が欠損すると生殖細胞が分化多能性をもつ幹細胞に脱分化することを示唆している。
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