研究概要 |
【検討項目】今回、(1)IFN-αの5種類のサブタイプ別肝癌細胞増殖抑制効果、(2)in vitroのIFN-αと5-Fuの併用による肝癌細胞の増殖抑制効果、(3)IFN-αによるアポトーシスの誘導機序、(4)IFN-α単独あるいは5-Fuの併用によるin vivoの増殖抑制効果を検討した。【結果】(1)IFN-αの5種類のサブタイプ(α1,2,5,8,10)の13種類の肝癌細胞株に対する増殖抑制効果を0〜1024IU/mlの濃度で検討した結果、α5が有意に最も強い増殖抑制効果を示し、以下、α8、α10,α2,1αの順であった。(2)in vitroでは、5-FuとIFN-αによる相乗的細胞増殖抑制作用は確認できなかった。(3)IFN-αは、caspase-3、-7,-8,-9を活性化し、最終的にPARPのproteolysisが生じアポトーシスを誘導する事が判明した。また、Cytochrome c及びSmac/Diablo蛋白のミトコンドリアから細胞質内への放出が観察された。AIF、Bax、Bidに関しては著変は認められなかった。このように、IFN-αによるアポトーシス誘導はミトコンドリア系を介したものであることが判明した。(4)ヌードマウスの皮下にヒト肝細胞癌株を接種し、径10mm前後の腫瘤形成時点から14日間連続でIFN-αCon1(0.01,0.1,1μg/mouse ;0.01μg=臨床量)あるいはPBSのみ(control)を皮下接種し、推定体積を2日毎に測定した。その結果、IFN-αCon1投与により体積が濃度依存性に徐々に減少し、15日目では0.01、0.1μg/mouseでcontrolの約60%、約25%の大きさまで縮小した。1μg/mouseでは、腫癌消失あるいは約10%となった。腫瘍組織の検討によりアポトーシス誘導と血管新生抑制作機序が腫瘍の増殖抑制の機序と判明した。また、5-FuとIFN-α併用投与により、単独投与に比べ明らかな相乗的増殖抑制効果を認めた。【結語】適切なIFN-αや薬剤の組み合わせにより直接的肝発癌抑制効果や抗腫瘍効果などがIFN-αに期待できる。
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