研究課題/領域番号 |
13670236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
平林 容子 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (30291115)
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研究分担者 |
井上 達 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性生物試験研究センター, センター長 (50100110)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 加齢の多因子乗算論 / 造血幹細胞 / klotho遺伝子変異マウス / p53欠失マウス / ゴンペルツ生存曲線 |
研究概要 |
生物は例えば所謂抑制因子のような要因遺伝子を一つ一つ分子進化的に獲得していくなかで、現在の寿命を獲得するに至ったものと考えられ、他方、これに対する化学物質などの異物は種々のストレス負荷の形で促進加齢に働くものと認識される。本研究では、心血管系の異常で早期に死に至るklotho遺伝子機能の不全状態と、種々のDNA障害修復の不全並びにゲノムの不安定を惹起するp53の欠失状態の、双方を生かした実験動物を作出し、新しい老化モデル、促進加齢マウスの樹立を目指し、ひいてはそれらの薬物検知モデルとしての可能性を追求してきた。 その結果、以下の3点について実験の結果から結論が得られた。 (1)klothoマウスにおける造血幹細胞の分子生物学的特徴:klotho変異マウスの造血幹細胞は、p53がヘテロで欠失しているとき、その放射線感受性がp53のヘテロ欠失状態に比べて有意に鈍化する性質をもっており、その程度はp53ホモ欠失状態の造血幹細胞のそれに匹敵していた。従って、klotho遺伝子機能に直接apoptosis促進機能があるかの如何は明らかではないが、その欠失が、apoptosisの抑制を含むその背景に基づいていて、これと符号した腫瘍の好発生を潜在的に持ちうることを明らかにした。合わせて、klotho不全状態では、一部の造血幹細胞の分画でその細胞周期を巡る機能が通常の老化マウスのそれに近似する所見が得られた。超未分化な造血幹細胞分画での検証に興味が持たれる。 (2)klothoマウスにおける造血幹細胞の潜在的好発がん性:前項における解析結果を合わせて行った小核試験では、klotho不全状態に惹起されるapoptosisの抑制に起因すると思われるメチルニトロソウレア(MNU)によって誘発される小核の頻度が有意に高かった。引き続くヘテロ欠失動物を用いた検討により、基本的にklotho欠失造血幹細胞には易白血病原性の潜在能のあることが証明された。 (3)p53・klotho共にヘテロ欠失状態での発がん性の解析:p53ヘテロ欠失マウスでの発がん性へのklotho欠失による修飾について検討する目的で、p53欠失マウスとklothoマウスとの交配によって作成した両者ヘテロ欠失のマウスを用いたMNUの単回投与による発がん性を観察した。結果として、klotho欠失による50%生存日数の短縮がみられた。尚、発生した腫瘍の頻度及び内訳については、有意な違いは認められなかった。
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