研究課題/領域番号 |
13670241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
島田 博子 (菅谷 博子) 秋田大学, 医学部, 助手 (30235626)
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研究分担者 |
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部(平成13年度のみ), 名誉教授(平成13年度のみ) (90053058)
石田 和人 秋田大学, 医学部, 助手 (60006731)
松田 信治 秋田大学, 医学部, 助教授 (70199800)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 広東住血線虫 / 好酸球 / major basic protein / 抗MBP抗体 / Rapid Translation System / 免疫組織化学染色 / 殺虫作用 / クローニング / Angiostrongylus cantonensis / エフェクター / マウス / MBP-1 / 塩基性蛋白質 / His-tag |
研究概要 |
広東住血線虫(Angiostrongylus cantonenisis ; Ac)感染マウスでは、脳に移行した虫体は、髄液に集積した好酸球によって殺滅されることがこれまでの知見より推測される。しかし、好酸球から放出される如何なるエフェクター分子によって虫体が殺滅されるかは今のところ全く不明である。よって本研究では、Ac感染マウスの髄液に増多する好酸球の顆粒内塩基性蛋白質が、脳内虫体の殺滅に如何なる関与をしているのかを分子免疫学的に解明することを目的として、初めに、マウスの好酸球の穎粒に含まれている塩基性蛋白質の一つであるMajor basic protein-1(MBP-1)のリコンビナントタンパクの作製を試みた。まず、感染マウスの骨髄からRNAを抽出後cDNAを作製してテンプレートとし、マウスMBP-1の成熟タンパクのN末端からC末端までをコードするcDNAの全塩基配列断片(GENBANK L46768、Larson et al.、1995)をPCRにより増幅した。これを、発現ベクターpIVEX2.3およびpIVEX2.4a, b, cに組み込んでヒスチジンクラスター・タグ配列をN末端あるいはC末端につないだリコンビナントを作製した。次に、Dye Terminator Cycle SequencingによりMBP-1 cDNAの成熟タンパクコード領域の塩基配列を確認したところ、1塩基のみがGENBANK L46768のものとは異なっている(翻訳後はサイレント)3種類のクローンを得た。これらをテンプレートとして、in vitro蛋白質合成システム(Rapid Translation System ^<TM>:Roche Diagnostics社)を用いて、His-tagと成熟MBP-1の融合タンパクの合成を試みた。pIVEX2.3およびpIVEX2.4cからin vitro蛋白質合成システムで蛋白の発現を行ったが、目的蛋白質であるMBP-1の合成はできなかった。現在、残りの1つのプラスミド(pIVEX2.4a)から蛋白質合成を行う予定であるが、細胞毒性が高いと言われるMBPをこのシステムを用いても得ることは想像以上に困難であることが判った。そこで米国Mayo Clinic Scottsdale ResearchのJames Lee博士にウサギ抗マウスMBPポリクローナル抗体の分与を依頼したところ快く承諾を得たので、この抗体を用いてMBPの脳内虫体および脳組織への沈着を調べた。すなわち、感染マウスの脳内虫体におけるMBPの沈着を免疫組織化学的に検索した。7週齢の雄C57BL/6マウスにAc第3期感染幼虫24隻を経口感染し、感染後経時的に剖検し、脳を摘出してホルマリン固定し、組織のパラフィン切片を作製した。感染後15日から脳のくも膜下髄膜に多数の好酸球浸潤が認められ、MBP粒子が好酸球外の髄膜組織内に散在する箇所も認められた。一方、感染後8日から22日にかけて脳内あるいは脳のくも膜下腔に虫体の断面が見られ、死滅しつつある虫体周囲は著明な好酸球で囲まれていた。しかも、この死滅虫体の体表には、角皮に沿って明らかにMBPの沈着が認められた。脳から遊離している生存虫体の角皮にはこのようなMBPの沈着が見られなかった。以上の結果より、MBPは脳内虫体殺滅作用のエフェクター分子の一つであることが示唆された。
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