研究概要 |
セファランチン(CP)は主として6種のアルカロイドからなっている。それはcepharanthine (CE),isotetrandrine (IT),berbamine (BE),homoalomoline (HO),cepharanoline (CO),cycleanine (CY)である。薬剤耐性株K1株に対するIC_<50>はCPでは333.8±103.6nMであった。一方CP含有アルカロイドではCE 1018.0±138.2,IT 169.8±27.4,BE 485.8±46.2,HO 1489.8±299.7,CO 1015.9±95.7,CY 3767.9±1993.8であった。CYをのぞくアルカロイド群は構造が類似していたにもかかわらず、IC_<50>は2群に分けられた。比較的IC_<50>の低いIT, BEと高いCE, HO, COの群であった。CYは最も高いIC_<50>を示した。混合物であるCPはIT単剤より劣ったがBEとほぼ同等のIC_<50>を示した。クロロキン感受性に対するリバーサル効果はクロロキン単剤のIC_<50>をコントロールとしてCPが15倍と最も優れておりCP含有アルカロイドではCE 2倍,IT 9倍,BE 4倍,HO 2倍,CO 3倍,CY 1.5倍であった。IC_<50>と同様にIT, BEが高い効果を示しCE, CO, HOでは約2倍、CYではほとんど効果を認めなかった。CPは各アルカロイド単独に比べ極めて高い効果を示し、リバーサルに関してはこれら6種類のアルカロイドの混合による高い相乗効果が認められた。これら各アルカロイドを人工的に混合しリバーサル効果をみたがCPより高い効果を示すものはなかった。一方日研化学によって開発された新規P糖蛋白阻害薬N276シリーズについてそのクロロキン耐性克服作用について検討した。N-276-15はベラパミールと同等のクロロキン感受性克服作用を有したがN-276-5,17,26と27は克服作用を示さなかった。P糖蛋白阻害薬であるN276がセファランチンに比べ感受性克服作用を示さなかったことはクロロキン耐性機構がP糖タンパクによらない可能性を示唆した。
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