研究課題/領域番号 |
13670263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立野 一郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50311642)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | O157 / 付着 / LEE / 転写制御 / Adherence / O157:H7 |
研究概要 |
腸上皮細胞への付着は、腸管出血性大腸菌(EHEC)による感染の初期段階において必須である。その付着に関する領域としてLEEにコードされたType III分泌機構と外膜蛋白質intiminの存在が知られている。ところが、ゲノムシークエンスの結果は、LEE以外にも付着を司る可能性のあるいくつかの領域が存在することを明らかにした。そこで、本研究では新規付着因子が存在する可能性を調査する目的で、人大腸上皮由来Caco-2細胞への付着能の上昇を示すトランスポゾン挿入変異株といてyhiE遺伝子に挿入を持つ株とyhiF遺伝子に挿入を持つ株の2種類の変異株を解析した。その結果、これら両遺伝子は転写制御因子と相同性のあるアミノ酸配列をコードしており、さらに、それらの変異株のTypeIII分泌および新規付着因子をコードする可能性のある領域がRNAレベルで活性化されていた。そこでさらに、1)これら2種類の変異株が示す高付着能がyhiE遺伝子およびyhiF遺伝子の破壊によるものであるかを調べた。2)高付着能を示した原因がLEE以外の未知の付着因子による可能性について検討した。3)さらに、マウスモデルを用いて高付着変異株の定着性を試験した。 (方法)1)O157SakaiからyhiEまたはyhiF遺伝子のin-frame欠損変異株O157TΔyhiEまたはO157TΔyhiFを作成した。付着能は、人大腸上皮癌由来のCaco-2細胞に4時間感染させた後、細胞に付着した菌数から評価された。2)yhiE挿入変異株、yhiF挿入変異株、及び親株(野生株)のType III変異株を作成し、それぞれG1-C5ΔespADB、C8-C8ΔespADB、O157TΔespADBとした。3)マウス:SPF,雌性ICRマウス(4週令)。供試菌:臨床分離株O157Sakai、O157SakaiのyhiE遺伝子挿入変異株(G1-C5)およびeae遺伝子欠損株(Δeae)。接種法:シメチジン処置後1.0×10^<11> cfu/kgの菌縣濁液を経胃摂取した。 (結果)1)O157TΔyhiEまたはO157TΔyhiFともに親株であるO157Sakaiにくらべて著しく高い付着能を示した。2)今回作成したすべてのType III変異株の付着能がCaco-2細胞に対する付着能を失った。3)G1-C5は7匹中6匹で摂取2週後までに糞便中に10^2 cfu/g feces以上検出されたが、野生株は約半数のマウス(6/14匹)で検出限界(10^2 cfu/g feces)以下となった。 (考察)yhiEとyhiFがType III分泌機構および分泌タンパク質の発現を介してO157の初期付着に関与する可能性が示唆された。
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