研究課題/領域番号 |
13670301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 大分大学(医学部) |
研究代表者 |
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
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研究分担者 |
園田 憲悟 (財)化学及血清療法研究所, 第2研究室, 研究員
万年 和明 大分大学, 医学部・総合科学研究支援センター, 助教授 (20145361)
山城 哲 大分大学, 医学部・総合科学研究支援センター, 助教授 (00244335)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ヘリコバクター / 細菌 / ワクチン / ベクター / vaccine / IFN-gamma / CTLA-4 |
研究概要 |
新たな抗原デリバリーシステムの候補として、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)を遺伝子改変させ、外来遺伝子断片を挿入すると同時に、病原性を減じた組み換えピロリ菌を作成することで、ワクチンのベクターとして利用する。さらにピロリ菌を個体に免疫した際の応答を、自然感染時に引き起こされるそれとの違いからマウスを用いた感染モデル系で解析し、ワクチン投与に伴う宿主の免疫学的応答を検討した。 これまでの研究でその候補として、1)ピロリ菌の外膜蛋白Omp29遺伝子と2)ピロリ菌の病原遺伝子の最右翼であるcagPAIを対象に、これらの遺伝子を破壊、もしくはこれら遺伝子内にin frameに挿入することで、外来遺伝子産物をピロリ菌々体内発現させることを目的とした。前者Omp29遺伝子内にGFP遺伝子を挿入した組み換え菌を作成することには成功したが、GFP蛋白の発現効率は菌体1個あたり1コピーのためか、検出効率が著しく悪く、発現のためにはプロモーターの選択や多コピーの遺伝子挿入の必要があると考えられた。一方、昨年度の研究でcagPAI遺伝子全長をクロラムフェニコール遺伝子で置き換えたノックアウト株を作成し、外来遺伝子挿入のためのユニット作成を試みているが、現在までその作成には至っていない。 次にピロリ菌の投与による感染マウスの免疫応答についての解析では、菌体をワクチンとして生体に投与した場合に引き起こされる応答に関して幾つかの知見が得られた。1)ピロリ菌を生後まもなく(乳幼児期)に実験感染させることにより、胃内で明らかな炎症反応が惹起される為には、少なくとも母親からの授乳期間を過ぎた離乳後における感染と、それに伴うIFN-γを主体とするTh1型サイトカインの誘導が欠かせないこと。2)ピロリ菌の菌体蛋白可溶性抗原を非経口的に免疫後に生菌をチャレンジ感染させると、18週までの観察で生着菌量に差は認めないものの、感染群では強い組織学的胃炎が生じ、免疫群では炎症細胞浸潤が抑制されていた。これはTh1系サイトカインのIL-2、IFN-γの産生の抑制と、T細胞増殖の抑制シグナルCTLA-4分子が有意な発現の増多を示す事を明らかにした。抗CTLA-4抗体のin vivo投与では、脾細胞培養上清中のTh2サイトカインはTh1系に比べより早期に強力に誘導されており、感染初期におけるCTLA-4の発現がTh1系細胞により強い抑制効果を示し胃炎を抑制したためと考えられた。
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