研究課題/領域番号 |
13670302
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
信澤 枝里 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90183904)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | インフルエンザウイルス / 受容体 / H3N2 / インフルエンザウィルス / レセプター |
研究概要 |
1992年以降に分離されるヒトインフルエンザウイルス(Ch-)は、ヒト血球を凝集するがニワトリ血球を凝集しない。このレセプター結合能の変化のMDCK細胞への結合能への影響を検討し、また現在流行しているCh-ウイルスが認識しうるレセプター構造の同定を試みた。Ch-ウイルスの解析は、Ch+ウイルス(1992以前に分離されニワトリ血球を凝集する)との比較で行った。その結果(i)Ch-ウイルスは、NA阻害剤100μモル存在下でもMDCK細胞で、阻害剤非存在下と同程度にプラーク形成能を示すが、Ch+ウイルスは1μモルの阻害剤存在下でプラーク形成能は抑制された。この時、両ウイルスのNA活性は阻害剤により90%以上抑制されている。さらにCh-ウイルスのHA遺伝子を持つリアソータントウイルスを作成し、そのNA阻害剤に対する耐性を検討した結果、Ch-ウイルス同様NA活性は抑制されているにも拘らず、MDCK細胞でのプラーク形成能は阻害剤耐性を示した。以上の結果は、Ch-ウイルスHAのレセプター結合能が変化した結果、MDCK細胞への結合能が低下し、ウイルスが出芽する際細胞表面上のシアル酸への結合が弱いためNAの活性を必要とせず出芽できるようになったことを示唆した。(ii)そこで、MDCK細胞上のシアリル糖鎖に対するCh-ウイルスの結合能を調べた結果、Ch-ウイルスの結合能はCh+ウイルスの約1/5に減少していた。さらに、MDCK細胞上のシアル酸を除いた後、外から人工的にシアル酸を導入した細胞を作成しそれに対するCh-ウイルスの結合能を調べた結果、この人工細胞に対しては結合能を回復した。このときMDCK細胞上に導入されたシアリル糖鎖の配列はSAα2,6GalβGlcNAcを含むものであった。従って、Ch-ウイルスのレセプター結合能はこの配列を強く認識するように変化したと考えられる。
|