研究課題/領域番号 |
13670315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
北島 勲 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50214797)
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研究分担者 |
小方 則夫 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (70204063)
村口 篤 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (20174287)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 肝臓癌 / 大腸癌 / 血管新生 / IL-8 / PEA3 / プロモーター解析 / デコイ / 遺伝子治療 / 浸潤 / アポトーシス / HepG2細胞 / AP1 / NF-кB |
研究概要 |
本科学研究費を用いて行われた2年間の研究成果は以下のようにまとめられる。 (1)各種癌細胞(肝臓癌株HepG2、骨肉種株MG63、胃癌MKN45、肺癌株A549、子宮癌株Hela)における恒常的IL-8発現が生じていることを発見した。 (2)癌細胞の恒常的IL-8発現はIL-8プロモーター解析により-147--142に存在するAGGAAC配列が重要でこの配列に癌細包が産生する転写因子PEA3が結合した結果、IL-8発現誘導が生じることを解明した。 (3)肝臓癌組織における癌細胞内IL-8とPEA3が共存し、癌細胞増殖・進展に伴い両者の発現が増強することを認めた。 (4)ヒト大腸癌の悪性度に伴うPEA発現増加を解明した。ヒト大腸病理組織を免疫染色し、腺腫から癌化過程と大腸癌基底膜浸潤部位にPEA3発現増加を証明した。 (5)PEA3発現抑制による遺伝子治療をめざしたPEA3デコイの開発に着手した。PEA3結合コンセンサス配列を認識する「PEA3デコイ」を合成した。本デコイをHVJ-リポソームに融合し、HepG2細胞に導入した。PEA3発現抑制効果をゲルシフトアッセイで解析した結果、約90%発現減少効果が確認された。 (6)HepG2細胞のマウス移植実験におけるPEA3デコイの血管新生抑制と腫瘍増殖抑制を確認した。HepG2細胞をヌードマウス皮下に移植し、腫瘍生着・増殖確認後、PEA3デコイをHVJ-リポソーム法にてマウス腹腔内に導入した。その結果、投与1週間で腫瘍増殖の抑制と癌組織のアポトーシス誘導とともに腫瘍周辺部の血管新生の著明な抑制効果が確認された。 以上より、本研究の意義は,1)本研究は肝臓癌のみならず大腸癌における癌進展と血管新生にIL-8の恒常的発現が密接に関連することを明らかにした点。2)IL-8恒常発現に癌細胞が産生する転写因子PEA3が関連することを解明した点。1)、2)は、これら発現を検討することにより病理診断に有効であること。さらに、3)PEA3デコイはin vivoにおいても癌進展と血管新生抑制効果があり、最終的に癌細胞のアポトーシスを誘導できたため、PEA3が癌治療の標的分子になる可能性を示した点である。
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