研究課題/領域番号 |
13670317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 稔之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30217054)
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研究分担者 |
宮坂 昌之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50064613)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | leupaxin / paxillin / integrin / tyrosine phosphorylation / focal contact / cell adhesion / cell migration / signal transduction |
研究概要 |
【目的】leupaxinはパキシリンと相同のドメイン構造をもち、T細胞をはじめとする造血系細胞に広く発現するアダプター分子である。本研究では、leupaxinの細胞接着および細胞遊走における機能的な意義を明らかにするために以下の解析を行った。【方法】(1)leupaxinによる細胞接着制御:野性型および変異leupaxinとEGFPの融合蛋白質を種々の細胞に発現させ、その細胞内局在、他のシグナル伝達分子との会合および細胞接着に及ぼす影響を解析した。(2)leupaxinのシグナル伝達における意義:fibronectinへの接着依存性に誘導されるパキシリンのチロシンリン酸化に対する野生型および変異leupaxinの影響を解析した。(3)leupaxinのT細胞の運動制御における役割:マウスT細胞株BW5147にleupaxinを発現させ、遊走細胞における分布と運動速度に及ぼす影響を解析した。【結果と考察】(1)ヒト腎臓由来細胞293Tやマウス線維芽細胞NIH3T3を用いた実験から、leupaxinはパキシリンと同様にLIM3ドメイン依存的に接着班に濃縮した。一方、leupaxinとチロシンキナーゼFAKの会合にはLD3モチーフが重要であった。またleupaxinはヒト白血病細胞K562のfibronectinへの接着を有意に抑制したが、293T細胞の接着には影響を示さなかった。(2)leupaxinはこれらの細胞でfibronectinへの接着刺激により誘導されるパキシリンのチロシンリン酸化を強く抑制し、この抑制作用にはLIM3ドメインが重要であった。(3)leupaxinはICAM-1上を遊走するBW5147細胞の後端部分に濃縮して存在した。しかし、leupaxinの過剰発現のみではBW5147細胞の運動速度に有意な変化は認められなかった。以上の結果から、leupaxinは接着斑に濃縮する特性を持ち、パキシリンのチロシンリン酸化を介するシグナル伝達に対して抑制的に機能するアダプター分子であることが示された。またleupaxinはintegrin依存性の細胞接着に対して抑制的に作用するが、その作用は細胞系譜に依存的であることが示唆された。さらに、遊走中のT細胞におけるleupaxinの分布は、これまでに報告されているパキシリンのそれとよく一致し、両者が協調的に作動してT細胞の運動を制御している可能性が示唆された。
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