研究課題/領域番号 |
13670326
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
脇岡 徹 久留米大, 助手 (40330873)
|
研究分担者 |
加藤 玲子 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (00333469)
吉村 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90182815)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | チロシンキナーゼ / STAT / SOCS / サイトカイン / チロシンりん酸化 / キナーゼ抑制因子 / 関節炎リウマチ / 大腸炎 |
研究概要 |
潰瘍性大腸炎やリウマチ性関節においてはいわゆる炎症性サイトカインであるIL-1,IL6,TNFα、IFNγが高値を示す。これらのうちIL-1やTNFαはNF-kBやJNKの経路を、IL-6はSTAT3、IFNγはSTAT1を活性化する。我々はこれらの炎症性疾患においてSTAT3の活性化と特にSOCS3/CIS3の高い発現を認めた。大腸炎のモデルとしてDSS(dextran sulfate sodium)を溶解させた水をマウスに投与することにより、下痢、血便、体重減少を伴う急性腸炎が誘導されることが知られている。マウスに7日間DSSを飲用させると腸炎が誘導され、その後蒸留水に換えると腸炎の回復が認められる。各時期でのSTAT3とSOCS3/CIS3の発現を検討したところ、DSS腸炎の経過とともにSTAT3のリン酸化が亢進し、CIS3の発現誘導が認められた。CIS3の発現はSTAT3の活性化が低下し、腸炎が改善傾向にある時期でも高発現を持続していた。我々はSTAT3は炎症の増悪化に、SOCS3/CIS3がその抑制に働くものと考えた。この仮説を証明するために、野生型SOCS1,SOCS3に対してドミナントネガティブに作用する変異SOCS1遺伝子(F59D-JAB)のトランスジェニックマウスを作成した。このマウスはコントロールマウスと比較してDSSによる大腸の著明なSTAT3の活性化の亢進が起こり体重減少率や組織学的スコアが増加し腸炎の増悪化を認めた。このことにより炎症の場においてSOCS3/CIS3が炎症に対して抑制的な働きを持つことが明らかとなった。また慢性関節炎リウマチ患者滑膜細胞やコラーゲン誘導性関節炎(CIA)や抗原依存性関節炎(AIA)においてもSTAT3の活性化とCIS3の誘導が観察された。これらマウス関節炎モデルにCIS3やドミナントネガティブSTAT3(dnSTAT3)遺伝子をアデノウイルスを用いて導入したところ関節炎が著しく軽減した。ウイルス投与によって組織破壊も抑えられIL-6レベルも減少していた。 CIAモデルにおいてはdnSTAT3よりもCIS3のほうが効果的であった。このことからもCIS3が炎症性疾患において抑制的な作用を持つことが示唆された。
|