研究概要 |
本研究では、8組の母子の毛髪を用いてmtDNAを抽出、増幅、シーケンス分析を行い、その母子間でのheteroplasmyの検索と違いを検討した。その後毛髪試料においてheteroplasmyが検出された同じ母子の血液サンプルを用いてシーケンス分析を行い、血液と毛髪とでのheteroplasmyの割合の違いについて比較した。 8組の母子間で毛髪試料においてheteroplasmyを有する組は全部で4組(サンプル1,2,3,4)であった。このうち子供のみheteroplasmyを有する組は2組(サンプル3,4)、母親のみheteroplasmyを有する組は1組(サンプル2)、母子両方がheteroplasmyを有する組は3組(サンプル1,3,4)であった。サンプル3,4の子供は16189に、サンプル2の母親は16129にheteroplasmyを有していた。サンプル1の母子は16189にheteroplasmyを有していて、サンプル3,4の母子は16189後のC連鎖においてLength heteroplasmyを有していた。またこれらのLength heteroplasmyは全てC-stretch regionと呼ばれる部位に見られた。 また、一般的に毛髪の方が血液よりもいろいろなものからダメージを受けていることより突然変異を起こす可能性が高いと考えられるため、その場合シーケンス分析を行って塩基配列を見ると、血液と毛髪のmtDNA中のheteroplasmyのピークの高さの割合が異なるという結果が現れるという報告をもとに、今回は8組の母子間の毛髪試料からheteroplasmyが検出された4組(サンプル1、2、3、4)の母子の血液のmtDNAについても解析を行った。heteroplasmyを有さない母子の組について見た場合、母子間での変異の箇所は完全に一致した。またheteroplasmyを有する母子の組について見た場合も、heteroplasmyを除いた変異の箇所は母子間で完全に一致した。
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