研究概要 |
子宮癌関連抗原のヒトパピローマウイルスタイプ16(HPV16)のE7蛋白内にHLA-DRに提示されCD4陽性T細胞が認識するエピトープを検出することを目的とした. 同意を得て提供を受けたサンプルでHPV16の存在とHLA-DRB1^*0901を持つことが既に確認されているサンプルを対象とした.まず,E7のアミノ酸配列のうち,HLA-DRB1^*0901と親和性の高いモチーフを内包する部位を20merの合成ペプチドシリーズとして作成し,テタヌストキシンペプチドとの競合反応により親和性を解析した.その結果,HPV16E7の61-80番目のアミノ酸配列:CDSTLRLCVQSTHVDIRTLE:(以下E7d)の親和性が高かった.つぎに,E7dを用い試験管内で単核球を刺激すると,HLA-DRB1^*0901陽性症例ではTh2タイプT細胞(IL-4の産生をフローサイトメトリーで確認)が0.3-2.4%にまで増加した.さらに,単核球をE7dとIL-12とともに培養するとTh1タイプのT細胞の増加が認められた. これらの結果から,E7dはTh1タイプとTh2タイプのT細胞エピトープであり,IL-12を用いる事により,細胞障害活性をもつTh細胞を誘導できる事から,子宮癌における予防・治療に応用できる可能性があると考えられた.
|