研究概要 |
私たちは、これまでにHelicobacter pylori CagA蛋白質が宿主細胞内でチロシンリン酸化されることを証明した(JEM., 2000, 191;593-602).今回、Q-TOF mass spectrometryを用いて、NCTC11637 H. pyloriで感染させたAGS細胞におけるチロシンリン酸化CagA蛋白質のチロシンリン酸化部位を同定し、5個のEPIYA繰り返しペプチド内のTyr893, Tyr912, Tyr965, Tyr999 and Tyr1033が重要なチロシンリン酸化部位であることを証明した。そのチロシンリン酸化CagA蛋白質は、ITAM-likeアミノ酸配列を有していることを見出し、後者のTyr965, Tyr999, and Tyr1033がそのITAM-likeアミノ酸配列の重要なチロシンリン酸化部位であり、そのチロシンリン酸化はITAM-like sequencesの数に比例することを明らかにした。つぎに、そのITAM-like sequencesを有したCagA蛋白質は1% Triton X-100不溶分画にlocalizeし、cholesterol-sequestering agentsであるnystatinでチロシンリン酸化CagA蛋白質複合体形成が抑制されることから、ITAM-like sequencesを有したCagA蛋白質はLipid Raftsにlocalizeし、チロシンリン酸化CagAを含むリン酸化蛋白質複合体を形成していることが示唆された。また、そのITAM-like sequencesを有したCagA蛋白質はVacAの受容体であるRPTP ζ/βの基質とされているGIT1/Cat1のチロシンリン酸化蛋白質と会合していることが明らかとなり、VacAおよびCagAのknock out変異株で感染させたAGS細胞におけるwestern blot解析および顕微鏡観察より、Lipid RaftsにlocalizeしたITAM-like sequencesを有したCagA蛋白質はチロシンリン酸化GIT1/Cat1蛋白質を会して、感染初期ではVacA-induced signalとpositivelyにassociateし、VacA-induced signalを遅延させ、CagA-dependent vesicleを形成し、感染後期ではCagA-dependentなsccatered humming birdを形成し、VacA-induced signalとnegativelyにassociateしていることを明らかにした。さらに、ITAM-likeペプチドを抗原にしたチロシンリン酸化CagA特殊抗体を用いて、gastric mucosal biopsy specimensにおけるImmunohistochemical stainingによりて、gastric foveolaのluninal surfaceでチロシンリン酸化CagA蛋白質がCagA蛋白質とともに、H. pylori感染した胃潰瘍、胃癌およびMALTリンパ腫の患者から検出されことから、ITAM-like sequencesを有したCagA蛋白質は胃潰瘍、胃癌およびMALTリンパ腫と深く関与していることをin vivoにおいて証明した。そして、ITAM-like sequencesはHPECのチロシンリン酸化Tir蛋白質も有していること、しかしチロシンリン酸化していないEHEC Tir蛋白質はITAM-like sequencesと異なるアミノ酸配列を有していること見出し、H. pyloriだけでなくE. coliもまた、ITAM-like sequencesをもった分泌蛋白質が病態と重要な関わりをもっていることが私たちのfindingによって示唆された。(Helicobacte, 2003, 8(1);1-14)
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