研究概要 |
1)48名の閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症侯群(OSAHS)患者、1時間あたりの無呼吸低呼吸回数51.9±18.5において夜間の心電図上のQT間隔のバラツキ(QTcD)と心臓交感神経機能の指標であるMIBG心筋シンチの関連を調べた.OSAHS患者のQTcDは覚醒中には正常人と有意差は無かった.経鼻持続持続気道陽圧療法(nCPAP)治療前後においてOSAHS患者の睡眠中のQTcD時間は有意(p<0.0001)に減少した.睡眠中のQTcDは睡眠中の最低酸素飽和度(r=-0.43,p=0.004),酸素飽和度90%以下時間(r=0.35,p=0.02)と有意に相関したが,MIBG心筋シンチの諸指標とは相関しなかった.QTcDの延長と心臓交感神経機能の亢進はいずれも予後不良因子であるが,本研究の結果は,夜間睡眠中のQTcDの測定がMIBG心筋シンチとは独立した指標になり得ることを示した(投稿中). 2)OSAHSで肥満(25kg/m^2以上)のある患者においては約35%にAST,ALT値の有意の上昇がみられることを示し,睡眠中の無呼吸による低酸素が増悪因子となっている可能性を示唆した.OSAHS患者のAST,ALT値はnCPAP治療により改善をみた.この事実は,肥満患者で原因不明の肝酵素の上昇がみられた場合,OSAHSの存在を考慮する必要があることを示唆している. 3)21名の重症OSAHS患者においてnCPAP治療前と治療初日の夜間に採血して,レプチン値を測定した.また,治療前にMIBG心筋シンチを実施した.無呼吸低呼吸後の覚醒による睡眠の分断化があるにもかかわらず,夜間ピークを示す血中レプチン濃度の日内変動が存在していた.初日のnCPAP治療によりOSAHS患者のレプチン濃度は有意に低下した.心臓交感神経機能と血中レプチン濃度の有意な関連が示唆された.
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