研究概要 |
1.肺損傷・線維化におけるユビキチン・プロテアソームシステム ヒト肺線維症の生検組織において、ユビキチン及びmultiubiquitinの発現亢進が認められた。又、肺上皮細胞にアポトーシスが認められる。ブレオマイシン肺臓炎においては、上皮細胞にmultiubiquitinが検出された。肺上皮細胞はproteasome inhibitorによってアポトーシスに陥り、その際にmultiubiquitinが検出される。肺生検組織のWesternblotによってもmultiubiquitinは検出される。これらのことから、ヒト及びマウスの肺損傷、肺線維化には、上皮細胞のアポトーシスが関与し、その一因として、ユビキチン・プロテアソームの機能異常が関与していることが示唆された。 2.肺損傷・線維化におけるp53,MDM2,SUMO1の相互作用 肺線維症の上皮細胞にはP53,MDM2,SUMO1の発現亢進が認められる。肺組織のhomogenateのwestern blotでも確認された。また、マウス・ブレオマイシン肺線維症でも同様の所見が認められた。MDM2はp53のE3 ligaseでありubiquitinationによってp53を不活化する。SUMO-1はMDM2のself-ubiquitinationを制御する。p53,MDM2,SUMO1のお互いの結合が認められ、degradationが生じ、その過程にubiquitin-proteasome systemが関与していることを見いだした。P53による上皮細胞のアポトーシスにubiquitin-proteasome systemが関与していると考えられた。
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