研究概要 |
1)びまん性汎細気管支炎(DPB)の呼吸細気管支領域に集積しているリンパ球はBaxをほとんど発現していなかったが、Bcl-2はほとんどのリンパ球が陽性に染色された。また、アポトーシス実行酵素であるcaspaseもほとんど発現しておらず、DPBにおけるリンパ球アポトーシス抑制の細胞内分子としてBcl-2の過剰発現が重要であることが判明した(Am J Respir Crit Care Med 167:A993,2003,Respir Med in press,2006)。 2)健常成人より分離した末梢血リンパ球のマクロライド系抗菌薬によるアポトーシスの誘導をアポトーシス促進蛋白のBax,アポトーシス抑制蛋白のBcl-xLおよびcaspase3を用いたflowcytometryにて細胞内分子レベルで検討した。CD3とCD28に対する抗体で刺激されたリンパ球はマクロライド系抗菌薬100mg/lの濃度においてアポトーシスが誘導され、その誘導はBcl-xLの発現を抑制することによることが判明した。この抑制は14員環および15員環マクロライド系抗菌薬に特徴的であった。マクロライド系抗菌薬は細胞内シグナル、特にアポトーシス抑制蛋白に影響を及ぼしている可能性が示唆された(Int J Antimibrob Ag 24:49-55,2004,Int Immunopharmacol 4:1201-1207,2004,Int J Antimicrob Ag 25:216-220,2005)。 3)マクロライド抗菌薬投与後のマウスモデルの肺組織を経時的に採取し、光顕および電顕レベルにて検討した。慢性気道感染症成立時期の60日目よりマクロライドを投与すると、投与後80日目頃より緑膿菌の菌数の減少が認められ、気道内好中球数の減少とバイオフィルム形成の減少が観察された。このことはin vivoにおいても、マクロライド系抗菌薬を長期投与することで緑膿菌の排除とバイオフィルム形成を阻害することが実証された(Anitimibrob Agents Chemother 48:2251-2259,2004)。
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