研究概要 |
タウexon 10-47thの1塩基置換のgenotype frequencyは,日本人集団ではC/C30.2%,C/A50.8%,A/A19.0%であったが,US Caucasianは,Alzheimer病患者集団とPSP患者集団で調べた結果であるがほとんどがC/Cであった.人種の違いによる多型分布の違いと考えられた.タウ遺伝子全体をカバーするハプロタイプH1とH2の頻度を日本人194例で調べた結果,全例でH1/H1の組み合わせであった.これは,欧米での研究でPSP, CBD集団で頻度がより高いとされているハプロタイプである. タウL266V変異を呈する家系を見出した.剖検脳では前頭側頭葉の萎縮が強く,尾状核の神経細胞脱落,黒質・青斑核の色素脱落が目立つ.その病理学的特徴Pick球様封入体あり.進行性核上性麻庫・皮質基底核変性症それぞれに特徴的なアストロサイト病理所見類似の病理所見を認める.沈着タウは4R29N,3R29N,4R0N,3R0Nが主体であり,RT-PCRによる解析でControlに比べ,わずかにexon-10 containing transcriptの発現が多い傾向にあった.これは,神経変性の結果かもしれない.recombinant tauを用いてmicrotubule assembly促進能の顕著な低下が確認された. PARK2でPeudo-Autosomal Dominant Inheritanceを呈する2家系を報告したが,社会的背景として,海,山,沼地に隔絶された地形,平家落人伝説を持つ集落ゆえ外界と隔絶された環境で800年間近親婚が続けられたと推定される歴史,近親婚に寛容な日本社会が指摘される.
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