研究課題/領域番号 |
13670688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
酒巻 哲夫 群馬大学, 医学部, 教授 (20124654)
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研究分担者 |
中村 哲也 群馬大学, 医学部, 助教授 (10272238)
神田 享勉 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40261838)
水沼 英樹 弘前大学, 医学部, 教授 (10125875)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | エストロゲン / 閉経 / 女性 / 高血圧症 / 心肥大 / ブラジキニン / 不飽和脂肪酸 / 自由行動下血圧 / 閉経後女性 / アンジオテンシン変換酵素 / 血清脂質 / ホルモン / 退縮 |
研究概要 |
女性ホルモン補充療法(HRT)の心血管系に対する作用機序の解明をするために、1)左室肥大(LVH)を有する高血圧症閉経後女性にHRT[1年間、結合型エストロゲン(0.625mg/日)と酢酸メドロキシプロゲステロン(2.5mg/日)を併用し連続経口投与]を行い、LVHおよび血圧、血清ACE活性、血漿アルドステロン、インスリン抵抗性等の心肥大調節因子に与える影響、2)閉経後女性でのHRTによる血漿ACE活性の低下と血漿ブラジキニンの増加がACEの多型性によって異なるか否か、3)閉経後女性にHRTを施行し、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)に与える影響、4)軽症または中等症の高血圧症閉経後女性にHRTを行い、外来血圧、24時間血圧測定器による自由行動下血圧、nondipper型に与える影響等について検討した。 結果は、1)HRTはLVHを退縮させたが、LVHの変化は心肥大調節因子の変化とは相関しなかった。2)HRTは、閉経後女性で血清ACE活性が高いD/D群と1/D群の血清ACE活性を低下させ、血漿ブラジキニンを上昇させた。一方、I/I群では低い血清ACE活性は、HRTにより低下しなかったが、血漿ブラジキニンは他の群と同様の上昇が認められた。3)HRTは閉経後女性の血清DHA、EPA濃度を増加させた。4)HRTは高血圧症閉経後女性の外来血圧、24時間血圧測定器による自由行動下血圧を変化させず、nondipper型の割合を変えなかった。 以上、1)HRTは心肥大調節因子の変化に関係なく高血圧症閉経後女性のLVHを退縮し、HRTは心血管病に対し有益である可能性を示唆した。2)I/I群では血清ACE活性の低下がみられなかったことから、このブラジキニンの上昇は、ACE活性の低下のみによるものではないことが示唆された。また、血漿ブラジキニンは全群で上昇しており、ブラジキニンが心保護作用を有することから考慮すると、HRTの施行はACE多型性のすべての型の閉経後女性において有効である可能性がある。3)HRTによる抗動脈硬化作用の一つにHRTによる血漿DHA、EPA濃度の増加が関与している可能性が示唆された。4)血圧に関して、軽症または中等症の高血圧症閉経後女性にHRTを行っても有害でない可能性を示唆した。よって、本研究ではHRTの心血管系に対する予防機序のいくつかの可能性を解明し示唆した。
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