研究課題/領域番号 |
13670689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 尋史 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50323572)
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研究分担者 |
佐田 政隆 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80345214)
杉浦 清了 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
青柳 昭彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251240)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 心筋ミオシン / ミオシン軽鎖 / インビトロ再構成系 / 筋収縮 / 分子生物学 / ミオシン / カルシウムイオン / アデノウイルス / カーボンファイバー / 心筋 |
研究概要 |
ミオシンは重鎖と軽鎖からなる6量体であり、ATPを加水分解しながらアクチンと相互作用して筋収縮という力学的仕事を産み出す。心筋ミオシン軽鎖には、心房型と心室型の2種類のアイソフォームが存在し、機能的に重要と考えられる部位のアミノ酸配列が異なる。大動脈狭窄症などの圧負荷心では、心室型軽鎖が減少し心房型軽鎖が増加することが知られている。心房型軽鎖を発現しているヒト心筋ファイバーでは筋収縮速度・発生張力が増加していることから、ヒト心室筋においては軽鎖アイソフォームの変化が圧負荷に対する適応機序となっている可能性が示唆される。 我々は、重鎖が共通で、軽鎖のみが異なる2種類のミオシンをラットの心筋より精製し、その分子機能をインビトロ再構成系(in vitro motility assay)を用いて検討した。本法は、単離精製したアクチンとミオシンを用いて、分子相互の滑り運動をATP存在下で再構成し、その分子モーター機能を定量するものである。これらのミオシンはATP水解活性には差がないが、モーター機能に明らかな差があった。即ち、心室型軽鎖をもつミオシン分子の方が心房型軽鎖をもつミオシン分子よりも平均発生張力が大きく、これはアクチンと結合して張力を発揮している時間が長いためであることが分かった。このことは、心室型軽鎖をもつミオシン分子の方が、ATP1分子当たりの発生張力が大きく、エネルギー効率が良いことを意味する。 この結果は、ATP水解の化学エネルギーを筋収縮という力学的仕事に変換する上で、ミオシン軽鎖が重要な役割を果たすことを示唆する。従来の強心薬は細胞内Ca^<2+>濃度を変化させることにより収縮力を増強していたため、心筋酸素消費量を増加させるが、ミオシン軽鎖を標的として薬物や遺伝子導入によりその構造・機能を改変することにより、エネルギー効率を悪化させない強心治療が可能になると考えられる。
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