研究概要 |
ラットット胎児由来大動脈平滑筋(A7r5)において、vasopressin及びendothelin-1は、細胞内Ca^<2+>を増加するが、これには、初期の細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出とそれに続く細胞外からのCa^<2+>流入が関与している。この後者のCa^<2+>流入経路としては、CRACのほかに、I_<CAT>が重要であること、さらに、RT-PCRによるmRNA解析により、CRACと関連したtransient receptor potential (TRP) 1,2,4及び非選択性陽イオンチャネルと関連するとされるTRP6の発現がみられることが判明した(図1)。TRP3,5,7の発現は見られなかった。同様の検討をWistarラットの大動脈血管平滑筋の切除標本から得られたmRNAで検討するとTRP2の発現は見られなかったが、1,4,6の発現を確認している。TRP1のanti-senseを作成し、lipofection法により遺伝子を導入し、Ca^<2+>動態及び電気的活動を今後、検討をする予定である。さらに、endothelin-1及びvasopressinによるI_<CAT>の活性化機序については、phospholipase Cの活性化によるdiacylglycerol (DG)の関与が示唆された。これらの研究中、いくつかの報告もすることができた。(Am. J. Respir..Mol. Cell. Biol,2000;Circulation.2002)。とくに、ウサギ冠動脈においては、I_<CAT>が膜電位形成に関与すること,LPCがI_<CAT>をさらに活性化し、これが冠動脈平滑筋のLPCによる細胞内Ca^<2+>濃度上昇に関与していることにつき報告した(Circulation 2002)。
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