研究課題/領域番号 |
13670732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
石橋 敏幸 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (00223024)
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研究分担者 |
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / カルシウム / Rho / 活性酸素種 / 非選択的カチオン電流 / 脂質修飾 / ゲラニルゲラニル化 / スタチン / H_2O_2 / 膜電流 / パッチクランプ / リゾフォスファチジルコリン / HMG-CoA還元酵素阻害薬 |
研究概要 |
本課題は、血管内皮細胞機能不全を引き起こす酸化LDLのリン脂質成分lysophosphatidylcholine(LPC)によるシグナル伝達系をCa^<2+>動態と活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)を中心に解明することを目的としている。 我々はLPC刺激が極めて迅速に(1分以内)ゲラニルゲラニル化を介し血管内皮細胞のRhoA活性化を誘導し、RhoA活性化が細胞内Ca^<2+>動員と密接に関連していること、さらにLPCにて非選択的カチオン電流(non-selective cation current, NSC)が誘導され、そのNSCにもゲラニルゲラニル化の脂質修飾が関与することを明らかにした。特に、迅速なゲラニルゲラニル化がRhoA活性化の律速ステップである可能性を示したことは新知見と思われる。さらに、LPC誘導の細胞内Ca^<2+>動員とNSCはHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)によりほぼ阻止された(Yokoyama K et al. Circulation 2002;105:962-967)。また、心筋を用いてLPC誘導NSCのシグナル伝達系とそれに対するスタチンの効果も明らかにした(Li L et al. Mol Pharmacol. 2002:62;602-607). LPC刺激によるROS産生とCa^<2+>流入との関連性についても検討した。細胞外Ca^<2+>存在下においてLPCによる細胞内Ca^<2+>上昇をcatalase(H_2O_2スカベンジャー)はSOD(O^<2->スカベンジャー)よりも有意に抑制したが、細胞外Ca^<2+>非存在下においてはcatalaseとSODのCa^<2+>濃度抑制効果に有意差は認めなかった。このことはH_2O_2が細胞膜からのCa^<2+>流入に関与していることを示唆した。CatalaseによるLPC刺激細胞内Ca^<2+>濃度上昇に対する抑制効果を明らかにするためにパッチクランプを施行したところ、catalaseはLPCにより誘導されるNSCを抑制した。しかし、SODにはその抑制効果を認めなかった。実際にLPC刺激1分以内に内皮細胞から産生されるH_2O_2産生も確認された。そして、H_2O_2それ自体もNSCを誘導した。これらのことは、LPC刺激によるCa^<2+>流入にNSCを介しH_2O_2が関与していることを示している。 ヒト単球を用いて組織因子とPAI-1発現におけるRhoA活性化の役割とスタチンの効果についても研究成果が得られた(Atherosclerosis.2002;163:39-47,BBA.2002;1590:123-130)。
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