研究課題/領域番号 |
13670748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 横浜市立大学 (2002) 東京女子医科大学 (2001) |
研究代表者 |
南沢 享 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (40257332)
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研究分担者 |
笠貫 宏 東京女子医大, 循環器科, 教授 (40096574)
松岡 瑠美子 東京女子医大, 循環器小児科, 講師 (50120051)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 心不全 / カルシウムサイクリング / 不整脈 / 筋小胞体 / 電気生理 / ホスホランバン |
研究概要 |
安全で効果的な心不全治療法として、心筋筋小胞体機能機、心筋筋小胞体Ca^<2+>ATPase(SERCA2a)の活性改善を臨床応用へと発展させる際に、あらたに重大な副反応を生じないことが重要である。SERCA2a活性が亢進すると筋小胞体から細胞質に放出される局所的なC^<2+>sparkの頻度や大きさが増加する。これによって不整脈が誘発され易くなる可能性が指摘されているが、実際に生体で不整脈が誘発されやすいかに関しては不明であった。本研究では、心筋筋小胞体機能亢進、特にSERCA2a活性亢進が不整脈を誘発する可能性の有無を、phospholamban(PLN)欠損マウスを用いて生体内で直接検討した。さらに高頻度に不整脈を認めたRasマウスで、PLN欠損による表面心電図への影響を調べた。PLNKOマウスでは野生型マウスに比べ、心拍数が速い傾向にあり、有意にQRS間隔が短縮していた。Rasマウスでは、PLN欠損によって、有意にQR間隔、QT時間、QTc時間が短縮された。マウス電気生理学的検査において、ヒトと同様にマウスでもA波(心房波)、H波(His東電位)、V波(心室波)が認められたが、マウスにおいて、H波を検出するのは極めて困難で、本研究では6例中1例のみでしか、きれいなH波を検出することが出来なかった。心房及び心室での高頻度刺激や期外刺激を行ったところ、PLNKOマウスでは野生型と比して、不整脈誘発性に差はなかった。覚醒下での連続的に心電図を記録したが、野生型マウス、PLNKOマウスには不整脈発生を認めなかった。Ras心室筋過剰発現マウスでは高頻度で期外収縮、心室頻拍を認めたが、Ras心室筋過剰発現・PLNKOマウスでは不整脈の発生頻度が減少する傾向を認めた。本研究では、PLN欠損マウスでは、心筋筋小胞体機能が亢進したために、不整脈を誘発しやすいという結果は得られなかった。むしろ高頻度に不整脈を認めるRas過剰発現マウスで、PLNを欠損させた場合に、QT時間の短縮や不整脈の発生頻度の減少傾向が認められた。この結果は、SERCA2a活性亢進を心不全治療に導入する際、安全性の観点から極めて重要であると考えられた。
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