研究課題/領域番号 |
13670752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
大久保 信司 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (50213658)
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研究分担者 |
竹越 襄 (武越 襄) 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40064539)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 虚血耐性 / 心筋梗塞 / 再灌流傷害 / アルファアドレナリン受容体 / チロシン・キナーゼ / プロテインキナーC / 家兎 / 再灌流障害 / 家兎心筋再灌流モデル / アポトーシス / tyrosine phosphorylation / genistein / second window of preconditioning |
研究概要 |
Ischemic preconditioning(IPC)は、心筋に短時間の虚血負荷をあらかじめ与えることで、虚血に対する耐性を獲得させ、その後の虚血心筋障害が減少する現象である。またIPCの梗塞抑制効果は比較的短時間に減弱し、約24時間後に再び虚血耐性が増強することが知られている。これらearly phaseおよびdelayed protective effectの心筋細胞内におけるメカニズムの解明には至っていない。近年いくつかの研究により、IPCのメカニズム解明に少しずつ糸口が見出されてきた。その中にadenosine receptorの活性化、protein kinase Cの活性化あるいはATP感受性カリウムチャンネルの開口などがあるが、早期のIPCと晩期のIPCのメカニズムは異なると考えられる。最近このdelayed protective effectのメカニズムの経路として、Tyrosine phosphorylationが重要な役割を演じているという考えが示されるようになった。本研究は、家兎を用いてtyrosine kinase inhibitorのgenistein投与に与るIPCに対する影響をearly phaseおよびdelayed phaseにわけて検討した。 1.実験対象および方法 IPCは、5分虚血10分間再灌流を4回行った。プロトコール1:early phaseの検討として、IPC後に30分虚血3時間再灌流を行った。(1)Control群(n=8)(30分虚血3時間再灌流)、(2)PC群(n=8)、(3)Genistein(5mg/kg)+IPC群(Ge-PC : n=8)群(n=8)、(4)Daidzein(5mg/kg)+IPC群(Dzn+PC : n=8)の4群で、DaidzeinおよびGenisteinは、IPCの5分前に経静脈的に投与した。プロトコール2:delayed phaseの検討として、IPCを行いその24時間後に30分虚血3時間再灌流を行った。(1)Control群(n=8)(30分虚血3時間再灌流)、(2)PC群(n=8)、(3)Genistein(5mg/kg)+IPC群(Ge-PC : n=8)群(n=8)、(4)Daidzein(5mg/kg)+IPC群(Dzn+PC : n=8)の4群で、DaidzeinおよびGenisteinは、IPCの5分前に経静脈的に投与した。灌流領域(area at risk)は5%Evans' blue dyeで決定し、梗塞範囲はTTC染色で決定した。また、各群4羽ずつ用いTUNEL染色し、その陽性細胞を検出した。 2.結果および結論 Early phase : risk areaに対する梗塞巣の割合は、(1)Control群(46.3±3.8%)、(2)PC群(12±1.2%)、(3)Gen-PC群(20±2.2%)、(4)Dzn-PC群(19±3.1%)であり、Genistein投与でもpreconditioningの効果は消失しなかった。また、TUNEL陽性細胞もcontrol群に比し他の3群では有意(p<0.01)に少なかった。Delayed phase : risk areaに対する梗塞巣の割合は、(1)Control群(39.7±2.8%)、(2)PC群(11.6±1.0%)、(3)Gen-PC群(46.4±4.1%)、(4)Dzn-PC群(46.4±4.1%)であり、Genistein投与でpreconditioningの効果は消失した。また、TUNEL陽性細胞もControl群と同様にGenistein投与群で、IPC単独ならびにDzn-PC群と比べて有意(p<0.01)に陽性細胞は多かった。以上よりischemic preconditioningによるdelayed cardioprotectionのメカニズムに、tyrosine phosphorylationが重要な役割を演じていることが示唆された。
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