研究概要 |
交雑犬の左前下行枝、回旋枝にAmeroid Constrictorを植え込み、イヌ慢性虚血性心筋症モデルを作成した。植え込み4週間後に、腸骨より骨髄液を採取し、密度勾配法により分離・濃縮した。perfluoropropane封入albumin microbubbleを冠動脈内投与し同時に、1MHz,2W/cm^2のtherapeutic ultrasoundを1分間照射した。照射直後に蛍光染色を施した骨髄単核球(2×10^8個)を冠動脈内投与した(治療群;n=5)。対照として、perfluoropropane封入albumin microbubbleを冠動脈内投与し同時に、1MHz,2W/cm^2のtherapeutic ultrasoundを1分間照射のみ施行したnegative control群(n=5)、骨髄単核球(2×10^8個)を冠動脈内投与のみ施行したpositive control群(n=5)を作成し、治療4週間後に心機能、免疫組織染色による骨髄単核球細胞の新生血管への取り込みを比較検討した。 結果:治療群で骨髄単核球細胞は新生血管の70%に取り込まれていた。治療群で左室駆出分画が37.8±6.8%から59.7±7.9%へと改善したのに対しpositive control, negative controlでは増悪していた。microspherにより算出した虚血部局所心筋血流量は治療群で約2.5倍に増加していたのに対して、positive, negative controlでは不変であった。さらに、microbubble+US照射によるCell delivery systemのメカニズムを明らかにするために、In Vitro(HUVEC)において、micro bubble+US照射による接着因子の発現を観察したところ、ICAM-1, E-selectinの発現が増加していた。 総括:albumin microbubble+therapeutic ultrasound照射により、血管内皮の接着因子の発現が増加し、骨髄単核球細胞を心筋へ効率よくdelivery可能である。慢性虚血性心筋症モデルにおいて、albumin microbubble+therapeutic ultrasound照射+骨髄単核球細胞移植は心筋血流を増加させ、心機能を改善する。
|