研究課題/領域番号 |
13670767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
甲斐 久史 久留米大学, 循環器病研究所, 助教授 (60281531)
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研究分担者 |
新山 寛 久留米大学, 医学部, 助手 (30309778)
桑原 史隆 久留米大学, 医学部, 助手 (90279167)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / 心不全 / TGF-β / 拡張障害 / 心筋線維化 / TGF-beta / 高血圧 / 拡張不全 |
研究概要 |
(1)Tβ RII : Fc遺伝子導入法の確立 HA-tagged Tβ RII : Fc遺伝子組み換え発現プラスミドpVR1255T βRII : Fcを作成しnaked DNA法にてラット大腿骨格筋に筋注導入したが、pVR1225プラスミドの発現がきわめて低いことが明らかとなった。このため、現在新たな発現ベクター数種に組み換えて最も生体内での発現効率の良いものをスクリーニング中。 (2)圧負荷肥大心モデル ラットの腎動脈直上で大動脈を縮窄し高度の心筋線維化に伴い拡張不全が進展する圧負荷肥大心モデルを作成。現時点においてT βRII : Fc遺伝子導入法が確立されていないため、抗TGF-β中和抗体を用いた生体内TGF-β機能抑制実験を施行。抗TGF-β中和抗体+圧負荷群・非免疫IgG+圧負荷(コントロール)群にランダマイズ。圧負荷手術1日前よりに抗TGF-β中和抗体または非免疫IgGを連日腹腔内投与し圧負荷手術28日後まで飼育。抗TGF-β中和抗体により、血圧・左心室肥大・収縮能には変化を認めないが、心筋線維芽細胞活性化の抑制、心筋線維化の抑制が認められさらに拡張障害の改善を認めた(Circulation 2002)。さらに圧負荷直後に心筋内血管の内皮細胞のICAM-1発現と血管周囲へのマクロファージ浸潤を認めた。抗ICAM-1中和抗体を投与すると、マクロファージ浸潤が消失したのみならず反応性心筋線維化が予防された(Hypertension 2003)。圧負荷により一過性に心筋で活性化される組織アンジオテンシン系が、これらのマクロファージ浸潤・TGF-β発現の引金を引くことが明らかとなった(J Cardiovasc Pharmacol, in press)。また、圧負荷モデルを用いて、高血圧が大動脈外膜栄養血管の新生に与える影響を検討した。圧負荷により中膜平滑筋層の相対的虚血がHIF-1・VEGF発現を引き起こしその結果、大動脈外膜栄養血管が形成されること、外膜栄養血管形成により中膜虚血が代償されること、高脂血症がこの外膜栄養血管形成を抑制することを明らかとし報告した(Hypertension 2002a ; Hypertension 2002b)。 (3)Dahlラットに対するTGF-β中和抗体療法 肥大期より抗TGF-β中和抗体を投与したところ、本モデルに特徴的な瀰漫性+置換性心筋線維化は有意に抑制されたが、拡張不全進展・心不全による死亡が抑制されず予後改善も見られなかった。これは主として腎病変進展による腎不全→容量負荷による心不全が原因と考えられた。 (4)OLETFラットに対する坑TGF-β中和抗体療法 10週間中和抗体を投与したが明らかな心筋線維化・拡張障害の改善効果は見られなかった。中和抗体を長期投与すると免疫作用等によって効果が慢性的には期待できないため、Cre-LoxPシステムによるTβR : Fc遺伝子治療を開発し、効果を確認する予定である。
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