研究課題/領域番号 |
13670776
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
有賀 正 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (60322806)
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研究分担者 |
崎山 幸雄 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (80133734)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Wiskott-Aldrich症候群 / 血液幹細胞移植 / フローサイトメトリー / WASP分子 / Mixed Chimera |
研究概要 |
Wiskott-Aldrlch症候群(WAS)は、血液幹細胞移植(HST)が成功しなければ予後が不良である原発性免疫不全症の一つである。近年、その原因遺伝子(WASP)が同定され、我々も、WAS患者の診断や、保因者診断を分子遺伝学的に実施してきた。また、我々は、抗WASP抗体を用いて細胞質内のWASPをフローサイトメトリーで検出する系(FCM-WASP)を確立し、簡便な患者診断、保因者診断が可能であることを報告してきた。この二年間の研究期間において、FCM-WASPの系を用いてHSTを実施したWAS症例の解析を試みた結果は以下の通りである。 (1)全国の医療機関の協力により、HST前後のWAS症例13症例の検体を得、経時的に解析を行った。 (2)FCM-WASPではレシピエントの細胞とドナーの細胞が細胞内WASP分子の発現量によって容易に識別でき、この方法は移植後のMixed chimera(MC)の解析に極めて有用であった。 (3)細胞表面抗原との二重染色により、移植後のMCの解析が細胞のリネージごとに評価可能であった。 (4)移植後のMCは6/13人に認めた。 (5)検出されたレシピエント由来の細胞では、単球が頻度も個々の絶対数も多かった。 (6)末梢血単球のMC状況から骨髄のMC状況が推測できた。 (7)移植後にMCとなるかどうかは早期に出現してくる細胞の種類の差に関連があることが示唆された。 (8)三重染色法での検索で、移植後に存続するレシピエント由来のT細胞はナイーブ細胞の維持しており、メモリー細胞は極めて少数であることが判明した。 これらの研究を通じて生体内でのそれぞれの血液系細胞の分化におけるWASPの重要度に差があることが示唆された。また、移植後のMCの性状と免疫機構の改善例から低IgMの原因がT細胞に起因する事が示唆された。今後もこの研究を発展させ、WASP分子の生体内での役割をより詳細に解析する予定である。
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