研究概要 |
臍帯血移植において生着不全(移植片拒絶)および移植片対宿主病GVHDに関与する免疫担当細胞(樹状細胞およびその前駆細胞としての単球)について以下のように研究を行ってきた。アロ抗原を処理する臍帯血単球の機能を解析するために肝細胞増殖因子HGFに対する反応性を検討した。HGFは感染症時に増加し肝臓細胞以外にも免疫担当細胞にも作用することが報告されているが、単球に関しては不明である。そこでHGFに対する反応性を成人血単球と臍帯血単球で比較した。成人血ではよく反応してDNA合成も始まるのに対して、臍帯血では反応しなかった。このように臍帯血単球は未熟であることをin vitroで示して報告した(Clinical and Experimental Immunology 125:222-228, 2001)。また、臍帯血単球から誘導された樹状細胞を使用して、樹状細胞の形態と機能を調節しているのはRho GTPaseであることをClostridimu botulinum由来のexoenzyme C3を使用して証明し報告した(Journal of Immunology 167:3585-3591, 2001)。また、単球のサイトカインシグナル伝達に重要なG蛋白結合レセプターの中でLSSIGが新規のレセプターであり、単球の分化と免疫反応に重要であることを報告した(Blood 101:1185-1187, 2003)。このように臍帯血の免疫担当細胞、特に樹状細胞タイプ1によるT細胞の調節に焦点を当てて生着不全に関する研究を行った。
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