研究課題/領域番号 |
13670851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹村 司 近畿大学, 医学部, 教授 (40227054)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 膜結合型HB-EGF / 尿細管性腎不全 / 成長因子 / 尿細管再生 / HB-EGF |
研究概要 |
急性尿細管性腎不全(ATRF)からの回復とその後の尿細管再構築作用に対するheparin-binding epidermal growth factor-like growth factor (HB-EGF)の役割を検討した。soluble formであるmature HB-EGFは、シスプラチンにより誘導したマウスATRFに対し、recombinant HB-EGFのATRF発症後の治療的、発症前の予防的投与により、臨床血液学的、組織学的に軽減を認めた。すなわち、有意な尿素窒素やクレアチニンの抑制と尿細管上皮の脱落や壊死の軽減化が観察された。その機序として、BrdUrd uptake assayにより、障害された尿細管上皮細胞のDNA合成の促進作用が推察された。一方、mature HB-EGFの前駆体である膜結合型HB-EGF (proHB-EGF)は、ランダムに増殖した尿細管上皮細胞を、管腔構造へとリアレンジメントさせる組織構築因子として機能することが、proHB-EGF発現ラット尿細管上皮細胞(NRK)を用いた検討により明らかとなった。また、proHB-EGF発現NRKにより形成された尿細管類似構造は、apical surfaceにmicrovilliを有し、basolateral surfaceは、平滑な面を配列する管腔構造特有の構造を呈し、かつ水チャンネルの一つであるaquaporin 2の発現を示したことから、集合管としての性質を持つことが明らかとなった。以上の成績から、HB-EGFは、mature HB-EGFによる尿細管上皮の細胞増殖刺激の促進と膜結合型HB-EGF (proHB-EGF)による形態再構築作用という2つの異なった機能によりATRFからの尿細管機能の回復に関与していることが示唆された。すなわち、以上のHB-EGFの役割は、今後の人工ネフロンの開発や尿細管障害時の尿細管機能の回復と組織再構築に対する将来の臨床応用が可能と考えられた。
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