研究概要 |
1.抗DFS70抗体の定量的検出法として高度に精製したDFS70大腸菌由来リコンビナント蛋白を用いたELISAを確立した。感度,特異度とも現在市販されている抗ENA抗体の測定キットと同等の性能を有したので,臨床応用が十分可能であると考えられた。 2.リコンビナント蛋白を用いたイムノブロット法,HeLa細胞のDFS70とのイムノブロット法,in vitro transcription and translation DFS70を用いた免疫沈降法の結果に一部の血清において解離が見られ,それらの血清では抗原アミノ酸の一次構造に規定されない蛋白の修飾もしくは何らかの立体構造が関与するエピトープを優先的に認識することが示唆された。 3.抗原の自己免疫エピトープを決定するために、DFS70cDNAの各種削除変異株による大腸菌由来リコンビナント蛋白を用いたイムノブロットを施行した。その結果、驚くべきことに患者抗体は抗原のある限られた部分のみを認識し、患者間での多様性は乏しく、アミノ酸数にして約60残基以上が必要であることが判明した。このことは連続した12残基アミノ酸からなるペプチドメンブレンを使用したドットブロットで抗体との反応が見られなかったこととも整合性があり、抗原アミノ酸の一次構造に規定されない蛋白の立体構造が関与するエピトープが認識されていることが示唆された。 4.一部の脱毛症患者や健常人にも抗DFS70抗体陽性者が存在した。必ずしもアトピー歴とは相関しなかったが,疾患を有するものの抗体価は高い傾向にあった。 5.DFS70のC末端アミノ酸配列に基づく合成ペプチドにより、ウサギ抗DFS70ポリクローナル抗体を作成した。この抗体はイムノブロットでDFS70抗原を認識するのみならず、間接蛍光抗体法によるHeLa細胞の免疫染色にも使用可能であったので、今後各種細胞や組織の免疫染色に応用可能な抗体として重要であると考えられる。
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