研究概要 |
家兎の腸骨動脈にカッティング・バルーン・カテーテルにより損傷をあたえ再狭窄モデルを作成した。これに対して192-Ir高線量率血管内照射を施行した。損傷を受けた動脈はH.E.染色で内弾性板の断裂が認められ、一部は中膜にも及んでいた。損傷後1週間の対照群では新生内膜増殖を認めた。2週間後ではさらに新生内膜増殖は増強されていた。これに対し照射群では1週間後では6Gy、12Gy群ともに新生内膜増殖はみられなかった。対照群の新生内膜領域は4週間でピークに達し、8、12週間後まで追跡したが著明な変化はみられなかった。照射群では4,8,12週間後でも新生内膜増殖の抑制が認められた。この作用は6Gy、12Gyの群で有意な差はみられなかった。PCNA染色による増殖能の検討では、対照群では損傷後1週間で最も陽性率が高値をしめした。4週間後ではさらに低下し、8週間後ではほとんど陰性を示した。照射群のPCNAの陽性率は対照群に比して有意に低値を示し、照射後1,4,8週間でほとんど5%以下であった。 以上より、angioplasty後の再狭窄を実験モデルとして作成することができ192-Ir高線量率血管内照射により、新生内膜増殖の抑制が可能なことが示された。投与線量は12Gyで十分効果が得られ、最長12週間まで持続した。このことは閉塞性動脈疾患のangioplasty後の再狭窄を予防が、血管内照射で実現可能であることを示唆するものである。臨床上、最も重要な冠動脈のPTCAやステント留置後の再狭窄への応用が期待される。
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