研究概要 |
本研究は,PDDの多数を占め,その多くが高機能(IQ【greater than or equal】70)のPDDNOS/非定型自閉症(AA)に関する7研究からなる. I:小児自閉症評定尺度東京版(CARS-TV)総得点を,PDD430人とPDD非合併精神遅滞(MR)75人の間と,PDD4群(自閉性障害AD,小児期崩壊性障害CDD,アスペルガー障害ASD, PDDNOS)間で比較した.総得点は有意に,PDDでMRより高く,ADとCDDでPDDNOSとASDより高く,PDDNOSでASDより高く,そのカットオフは,PDD/MRは25.5/26,AD/PDDNOSは30/30.5であった. II:自閉性スペクトル指数日本版(AQ-J)得点は,信頼性が良好で,高機能PDD男子青年15人で男子対照群49人より有意に高く,その高機能PDDカットオフは26点であった. III:高機能AA53人を小児自閉症(CA)21人とCARS-TVでIQとCARS-TV総得点を統制し比較すると,前者は有意に対人関係と全般的印象で異常性が軽く,不安反応が強かった. IV:出生時頭囲は,AA143人,CA95人,一般乳児の3群間で有意差なく,AAとCAとも女児で男児より有意に大きかった. V:各22人の高機能PDDNOSと注意欠陥多動性障害をWISC-IIIで比較すると,前者は有意に,言語性IQ,言語理解,単語,理解が不良で,積み木模様,記号,処理速度が優れていた. VI:小児行動質問表改訂版(CBQ-R)が4-6歳時と24-36ヵ月後に施行された,AD19人,PDDNOS59人,PDD非合併精神遅滞24人を比較し,IQとCBQ-R得点に診断・時間の交互作用のないことと,3群でIQ上昇とCBQ-R得点減少を認めた. VII:平均20歳時で,AA41人はCA83人より,有意に自閉度が軽く高機能PDDの比率が高かった.
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