研究課題/領域番号 |
13670986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 滋賀医科大学 (2003) 東京大学 (2001-2002) |
研究代表者 |
定松 美幸 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90252387)
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研究分担者 |
増井 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80190346)
綱島 浩一 東京大学, 医学部附属病院・精神神経科, 助教授 (30197743)
今井 秀樹 独立行政法人国立環境研究所, 内分泌かく乱物質及びダイオキシン類の管理とリスク評価プロジェクト, 主任研究員 (00232596)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 海馬傷害 / 有機スズ / 細胞死 / 細胞新生 / マイクロアレイ / 海馬 / トリメチルスズ / グルココルチコイド / トリメチル錫 / ニューロン / グリア |
研究概要 |
トリメチルスズ(TMT)投与による海馬傷害モデルラットについて、海馬における細胞死と細胞新生を検討した。TMTモデルにおける細胞死は、TMT投与後1日日から海馬CA1,3領域の錐体細胞層、歯状回顆粒細胞層で認められ、投与後5日目に最大となり、以降は減少した。神経再生はおおむね神経細胞死(アポトーシス)の生じる部位を覆う様な形で、時間的にも神経細胞死の発生より1-2日遅れて観察された。TMT投与と副腎摘除術(ADX)を併用し、グルココルチコイドがTMTの海馬傷害を増悪させることを確認した。TMTによる神経細胞死はグルココルチコイドのタイプ2受容体アゴニストで軽減されたが、神経再生には変化がみられなかった。 次に、TMT投与による海馬傷害の予防について検討した。免疫抑制剤をTMT投与後に投与し、細胞死について検討したところ、明らかに細胞死を抑制することが明らかになった。しかしながら免疫抑制剤はCA1領域の細胞死を抑制するにとどまり、CA3領域の細胞死には影響がなかった。 免疫抑制剤が有機スズによる海馬神経細胞死を一部であれ、抑制することは、細胞死にどのようなメカニズムが働いているかを解明する手がかりとなりうると考え、有機スズ投与、免疫抑制剤投与、それぞれでどのような遺伝子発現が変化するかをマイクロアレイを用いて解析した。TMT投与により1)グリオサイトーシスにかかわる遺伝子発現がコントロールに比べて上昇しており、炎症反応が起こっていること、2)アポトーシスを抑制する遺伝子発現が減少しており、細胞死が誘発されていることが明らかになった。免疫抑制剤投与後は逆に、神経保護効果のある遺伝子の発現が上昇、グリオサイトーシスに関わる遺伝子の発現が減少していた。免疫抑制剤は神経保護作用を持つ因子の遺伝子発現の上昇を促すことで神経細胞死を抑制し、一方でグリオサイトーシスを促進させる因子の遺伝子発現を抑制することで炎症反応を抑制し、結果として細胞保護作用を発揮すると考えられた。
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