研究概要 |
向精神薬による水中毒モデルラットを作成するために脳室内に持続的に薬剤を注入する系の確立を行った。まず、雄性Wistar系ラット160-170gを当大学附属動物実験施設内の明暗サイクル(明期:8-20時;暗期:20-8時)、温度21±2℃、および湿度60±10%の条件下で,アンビュロ・ドリンコメーター内で21日間飼育し、基礎行動を測定した。次にステンレスのガイドカニューラをラットのSFOにsodium pentobarbital(50mg/kg, i.p.)麻酔下で植込を行い、術後10日後基礎行動を測定し、行動量に手術の影響のないことを確認した。次に生理食塩水を満たした浸透圧ポンプ(約3週間の持続的投与可能)をpentobarbital(50mg/kg, i. p.)麻酔下で皮下に埋め込み、ステンレスのガイドカニューラに接続した。3週間後、断頭し正確な位置にカニューラが挿入されていたかを確認し、持続的に薬剤を脳室内に投与するが確立された。 並行して、水中毒の神経細胞への影響を調べる目的で、脳内神経細胞におけるアポトーシスの検討を行った。pentobarbital(50mg/kg, i. p.)麻酔下に雄性Wistar系ラットを断頭し、凍結切片を作成した。これら切片を用いて、抗力スパーゼ3抗体(活性化され切断されたもののみ認識)を用いた免疫組織化学法及びTunnel法を用いた染色を施行した。これらの結果から正常ラット脳において少数ではあるが、アポトーシスに陥っている神経細胞があることがわかった。 また、遺伝子損傷時に核に移動する蛋白であるDDB1に対する抗体を作成し、アポトーシスに陥っている神経細胞にDNA損傷の修復過程が同時に起こっているいるかについて検討を行ったが、そのような所見はみられなかった。
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